MOZA Slypod E(モザ・スライポッド)とSlypod Proの使用感想をブログで詳しくレビューしたいと思います。Slypodは、カメラの一脚(=モノポッド)のような形状をした電動スライダーです。通常のスライダーと異なり、組み立て作業は不要です。
一脚型の電動スライダーのSlypod(軽量素材)やSlypod Pro(可動域52cm)の廉価版です。本体重量は919g。通常版に付属される自由雲台などの付属品を省略し、素材をアルミニウムに変更することで、価格を大幅に抑えたモデルとなっています。耐荷重は最大垂直負荷9kg、水平負荷4kgと通常版と変わりません。本体はMOZA Masterアプリからカメラの移動距離、速度、加速度を調整することで、正確なカメラの動きを簡単にプログラムできます。詳しくは解説レビューを御覧ください。また、同メーカーのAircross2とも連携できます。
MOZA SlypodEとカメラを、三脚に固定した様子 ©
一般的なスライダーよりもコンパクトなので、トラベラー用スライダーとしても便利です。現在では、可動域が52cmに強化されたSlypod Proも登場しています。
一脚型の電動スライダー。これまでリリースされていたSlypodシリーズのフラッグシップに位置する製品で、伸縮できる長さは52cmと強化。さらに三脚への固定箇所が2つに増設されています。Slypod Proを使用すると、水平から斜め、垂直から吊り下げ、囲むまで、あらゆる角度でのユニークなショットをスムーズかつ正確に映像撮影できます。ジンバルのAirCross3との組み合わせると伸縮に加えて3軸のコントロールも可能になります。
伸縮長が強化されたSlypod Pro ©
下記の動画では、Slypodを使うと、どのような動画撮影が楽しめるか?について知ることができますので、ぜひご覧ください!幾つかの活用例を短い時間で把握することができます。
上記の動画は海外でもご紹介されました!
また、次のSlypod Eの動画解説では、本体のボタン操作やスマートフォンアプリによる操作方法を詳しく解説しています。どのような動きをするのか詳しい使い方を確認したい時に参考にしてみてください。
更に、Slypodでは、単純な伸縮動作に留まりません!別売りのジンバルと組み合わせれば、更に面白い動きも可能です。例えば、私の場合はこんな感じでSlypodを使っています。
電動スライダーのSlypod Proとの連携もしやすい ©
こちらの使い方は以下の動画でも説明していますので御覧ください。
この記事では、SlypodEと同じメーカーから発売されているAircross2との活用例についても解説していきますが、現在では後継機種となるAirCross3(解説記事へ)が登場していますが、使い方は全く同じことができます。
本体の長さは585mm
、スライダーの可動域は280mm
の間で伸縮可能。移動スピードは0.15mm/秒
から28mm/秒
の間で調整することができます。特にスマートフォンで提供されるアプリによって、遠隔操作によるスライダー操作が楽しめるのが良いところです。ジンバルには難しかった上下左右のゆっくりしたスライダーショットを一眼レフやミラーレスカメラでブレなく撮影することが出来ます。
今回は、MOZA製品のメーカーであるGudsen Technology Co.,Ltd(中国深セン市)さんより、同製品のご提供を頂きました。当記事では、MOZA SlypodEを使うと何が出来るのかや、具体的な使い方について解説していきます。最近登場したSlypod Proについても使い方は同じですので、ぜひ参考にして頂ければと思います!
電動スライダーについては様々な製品がありますが、その他の製品については詳しくは以下が参考になります。
目次:MOZA Slypod ProとEのレビュー&使い方の解説
MOZA Slypod Eの使用感想と特徴
MOZA SlypodEでは、特に商品撮影や小さい被写体をマクロ撮影で楽しむ時に便利だと思いました。個人的には
- Youtubeの商品動画
- 徐々にカメラアングルを動かしたい撮影シーン
で活用したいと考えています。スライダーの移動速度は、スマートフォンで感覚的に調整が可能となっており、微速移動や速いスライダーショットを楽しめます。実際に使用してみて良かった点や気になった点は以下の通りです。
MOZA SlypodEの長所
持ち運びが苦にならない
総重量は1.4kg
ほど。付属のキャリングケースを含め、持ち運びはとてもコンパクトで済みます。詳しくは後述する付属品で解説しています。
等速・減速するスライダーショットが楽しめる
電動によって均等な速度によるスライダー移動や、徐々に減速するなどの撮影が気軽に楽しめます。スライダー操作に熟練していないくても、滑らかな映像が撮れるのが良いなと思いました。またスマホアプリによって後述する複雑な遠隔操作も可能です。
一脚のような自在なアングル操作が楽しめる
三脚にSlypodEを装着すると、折り曲げ可能なセンターポールや、ブームアームのような使い方ができます。また、地面すれすれのローアングル(低姿勢)や斜めのスライダー動作も可能です。
MOZA SlypodEの欠点
スライダー動作中に音が大きく発生する
動画撮影と音声収録を同時に行いたい時は、SlypodEのモーター音が大きいため、工夫が必要です。
先端のネジの固定力に不安が残る
後述するネジ部分の出っ張りによって、重量の大きい機材を装着する際には注意が必要です。
急速なスライダーショットはできない
最速移動スピードは28mm/秒
となっています。電動スライダー全般に言えそうな内容だと思いますが、急激なスピードでスライダーを操作することはできません。こういった用途では手動のスライダーが必要となりそうです。
特に、電動モーターによる伸縮動作は大きい音が発生しますので、どうしても音声収録を行いたい場合には、
- SlypodEの移動速度を遅くする
- マイクをSlypodEから離す
といった工夫が必要になります。
MOZA SlypodEで撮影した映像作例
MOZA SlypodEで撮影した作例を順次ご紹介していきたいと思います。まずは、冒頭でもご紹介した商品撮影の例になります。
MOZA SlypodEの外観と付属品について
MOZA SlypodEを購入すると以下の付属品が入っていました。
SlypodEの付属品。スリムなキャリングケースが付属。 ©
SlypodEの本体重量は付属品2〜4を含めると1240g
になります。
- SlypodE本体 (長さ
58.5cm
・重量919g
) クリックリリースアダプターとネジ
SlypodEの先端とカメラ雲台を接続するためのパーツです。脱着と固定が可能となっています。先端には、付属される3/8インチネジ
と1/4インチネジ
を交換して好きなネジを装着できます。
SlypodE本体から装着・脱着が可能。1/4ネジと3/8ネジが付属される。 ©
SlypodEのクリックリリースアダプター。SlypodEから脱着可能 ©
スタンドアダプター
Slypodの末端に、ミニ三脚やウェイトを装着できるようになります。両端は1/4インチのメスネジです。
SlypodEのスタンドアダプター。メスネジによって、ミニ三脚やウェイトの装着が可能。 ©
SlypodE本体の底面は1/4インチネジのオスネジとなっているため、スタンドアダプターによってメスネジに変換できます。
SlypodEの底面は1/4オスネジとなっている。 ©
ミニ三脚
Slypodを自立できるようになります。
SlypodE付属のミニ三脚。ハンドル代わりにも使える。 ©
SlypodE付属のミニ三脚は開閉が可能。 ©
SlypodEをミニ三脚で立てた印象としては、不安定なものの、平坦で風のない室内でしたら上下移動の撮影ができそうです。
ミニ三脚で自立させた様子 ©
キャリングケースのストラップ
キャリングケース本体を肩などにぶら下げる際に使用します。
USBケーブル (Type-C・長さ1m)
SlypodE本体の充電を行うためのケーブルです。
SlypodEに付属されるUSB Type-Cケーブル。内蔵バッテリーの充電が可能です。 ©
充電中は赤色のLEDが点灯し、充電が完了すると青色のLEDで知らせてくれます。
キャリングケース
写真にあるSlypodE本体と付属品をコンパクトに持ち運びできるケースです。上記の付属品を全て収納して持ち運びができます。
なお、別売りのUSBケーブルによって、SlypodEのUSB端子から、カメラに接続を行うと、SlypodE本体やアプリから撮影を開始できるようです。
充電には別売りのAC電源アダプターが必要となります。もし持っていない場合には、次のようなUSB充電器を用意しておきましょう。
場所を取らず、非常にコンパクトなUSB充電器です。
MOZA SlypodEの固定箇所はアルカスイス対応プレート型と三脚ネジ穴が2つ
MOZA SlypodEの底面はアルカスイスのクリックリリースプレート形状となっています。また、底面は三脚ネジによる固定も可能となっており、ネジ穴は1/4インチネジと、3/8インチネジを備えています。
SlypodEでは底面に1/4インチネジと3/8ネジの2種類を備える。 ©
こちらは取り付ける三脚や雲台のネジサイズに応じて、好きな固定方法が選択できます。自分の場合は、ビデオ雲台のプレートに備わっている2つの1/4インチネジで2点固定しています。
別売りの3/8→1/4インチネジ変換を使ってみた ©
3/8→1/4インチ変換ネジは、以下のライティング用のダボネジに付属していたものを使用してみました。
ライトスタンドにも使える変換用のダボネジや、3/8から1/4インチネジへ変換するアダプターがセットになった製品です。三脚、一脚、ボールヘッド、ライトスタンド、ビデオライトなどのカメラアクセサリーに対応できます。
ビデオ雲台のプレートに装着してみた ©
MOZA Slypod ProやSlypodEとの違いについて
現在Slypodには、現在3つの製品シリーズが登場しています。価格が安い順に挙げていくと次の通りです。
Slypod E
この記事で紹介している製品です
Slypod
Slypod Eに比べて、軽量な素材で作られています。機能や出来ることは同じです。
Slypod Pro
Slypodシリーズの上位機種にあたる製品。可動域が52cmもあるプロフェッショナル仕様。一般的なスライダー製品と肩を並べる伸縮可動域になっています。更に、プレートが2つ備わり、2つの三脚で固定が可能となりました。シーンに応じて安定性を確保できるため、重量の増加と価格が高い点に目をつぶれば、使い勝手は最も優れています。
私もこちらを現在愛用中です。
どの製品も出来ることは同じです。ただし、重量が軽くなっていたり、伸縮域が大幅に強化されたSlypod Proが存在します。予算が許せば、Slypod Proを選ぶのがオススメです。スライダーとしての表現を楽しめます。
SlypodEのE
は、恐らくEssentialの頭文字で、主要・不可欠な機能のみに絞られた製品バージョンという意味合いになるかと思います。
SlypodとSlypod Eはどちらがオススメなの?
SlypodとSlypodEには、次の表のような違いがあります。既にカメラ用の自由雲台をお持ちの方や、耐荷重の高いカメラ雲台を別途用意したい場合にはSlypodEが安くてオススメです。まだ、雲台をお持ちでない場合はSlypodが導入しやすいかと思います。
Slypodシリーズ | 本体の重量 | 価格 | 付属品の有無 |
Slypod | 769gと軽量 | 高い | 自由雲台と大型ケース、木製ハンドルが付属 |
Slypod E | 919g | 安い | 自由雲台は無し。コンパクトなケースが付属 |
その他、性能と機能については差がありません。SlypodとSlypodEの仕様・性能は次の通りです。
仕様 | 説明 |
サイズ(長さ) | 585mm |
スライダー最高長時の長さ | 996mm (付属品を含めた長さ) |
可動域 | 280mm |
本体重量 | 769g(Slypod)・919g(SlypodE) ※2から4の付属品を含まない本体重量 |
最大直径 | 54mm |
バッテリーの持続時間 | 2時間 |
充電時間 | 90分 (付属のUSB type-C ケーブルによって5V2A で充電) |
スライダーの低速移動速度(最小) | 0.15mm/s |
スライダーの高速移動速度(最大) | 28mm/s |
ペイロード(耐荷重) | 垂直荷重9kg・水平荷重4kgまで搭載可能 |
それでは通常版のSlypodとSlypodEの違いを見ていきたいと思います。
MOZA Slypod (通常版)の特徴
カーボンファイバー素材を使用して769g
と軽量化です。付属品としてSlypodの先端に装着できる自由雲台が付属しており、自由にカメラの向きを変えることができます。また豪華なキャリングケースや握り手となる木製のハンドルが付属しています。
一脚型の電動スライダーです。本体重量は769g。最大垂直負荷9kg、水平負荷4kgとなっており、カーボンファイバーの素材を採用。本体はMOZA Masterアプリからカメラの移動距離、速度、加速度を調整することで、正確なカメラの動きを簡単にプログラムできます。価格を安く抑えたSlypodEもラインナップされています。詳しくは解説レビューを御覧ください。また、同メーカーのAircross2とも連携できます。
外観はダークな色調で纏まったオシャレなデザインとなっています。予算に余裕があればSlypodもおすすめです。
MOZA Slypod E (廉価版)の特徴
SlypodEは、Slypodに比べて価格を半額近くまで安く抑えた製品です。MOZAによると、基本性能に違いは無いとされています。
一脚型の電動スライダーのSlypod(軽量素材)やSlypod Pro(可動域52cm)の廉価版です。本体重量は919g。通常版に付属される自由雲台などの付属品を省略し、素材をアルミニウムに変更することで、価格を大幅に抑えたモデルとなっています。耐荷重は最大垂直負荷9kg、水平負荷4kgと通常版と変わりません。本体はMOZA Masterアプリからカメラの移動距離、速度、加速度を調整することで、正確なカメラの動きを簡単にプログラムできます。詳しくは解説レビューを御覧ください。また、同メーカーのAircross2とも連携できます。
ただし、アルミ素材を使用しており、Slypodよりも150g程度重たい本体重量919g
となっています。外観は金属製を感じるスポーティーなデザインです。
MOZA SlypodEはアルミ素材を採用。通常版Slypodに比べてスポーティな外観デザイン。 ©
また、注意点としては、カメラ用の自由雲台が付属されていないので、自身で用意する必要があります。
Slypod・SlypodEには自由雲台が必須となり、SlypodEでは自身で雲台を用意する必要がある。 ©
次の項目では、私が使っている三脚や雲台についてご紹介していきます。更に、スリムなキャリングケースが付属しており、他のカメラ機材と一緒に持ち運ぶ際に邪魔にならないのが良い点となります。
SlypodEの付属品。スリムなキャリングケースが付属。 ©
MOZA Slypod Eに使用してみた三脚や自由雲台について
SlypodEは、三脚へ本体とカメラを固定して使用することになります。また、前半でも触れた通り、カメラアングルを変更するために自由雲台が必要になります。また、三脚の安定性が足りないとブレが揺れが発生しやすくなるため、剛性の高い三脚があると良さそうです。
SlypodE・Slypodでは三脚固定が必要 ©
私の場合は昔から写真撮影で使っていた三脚に、ビデオ雲台やレベリングベースと呼ばれるパーツを使って、SlypodEを装着してみました。
- Manfrotto MHXPRO-BHQ2 (Slypodに付ける自由雲台)
- Manfrotto 055 CX3 (写真用カメラ三脚)
- Manfrotto MVH502AH (ビデオ雲台)
- Newwerレベリングベース (ビデオ雲台の水平を取るのに必要)
上記について、順番に見ていきたいと思います。
SlypodEで使用した自由雲台(ボール雲台)
まずは、カメラを装着する自由雲台についてです。自由雲台を使用すると、SlypodEの先端に取り付けたカメラを自由にアングル調整ができ、必須の機材となります。
最新のトリプルロッキングシステムでブレを最小限に抑えるロックを実現。自重わずか0.5kgで最大耐荷重10kgを実現。マグネシウム合金のボディと空洞の球体により自重の軽量化と堅牢性を確保。200PLプレート装備多くのマンフロットフォト雲台を採用。雲台高11.5cm、自重0.5kg、最大耐荷重10kg、付属プレート200PL
SlypodE・Slypodでは三脚固定が必要 ©
本体は500gと軽量ですが、耐荷重はそれなりにあります。
クリックリリースプレートによって、カメラの脱着操作も非常に楽なのも良いところだと思います。また、簡易的なフリクションコントロール(締め付けによる抵抗)でトルクも調整できるので、簡易のビデオ雲台としても使用できるようです。
SlypodEで使用した三脚と耐荷重について
カメラ三脚です。Slypodを使用するために重要となってくる機材です。耐荷重8kgとなっており、写真撮影用としては望遠レンズを搭載してもそれなりの安定性があり、日頃から愛用している三脚になります。
現在は以下の新しい三脚モデルがリリースされています。
安定性と剛性・重量をバランス良く考慮した三脚。重量2kg・耐荷重9kg、9cmから170cmまで伸縮可能。
SlypodEで使用したビデオ雲台
Slypodを装着する雲台には、以下のビデオ雲台を使用してみました。
パンとティルト動作をサポートする可変フルードドラッグシステムを採用。ティルト動作に対して、変更可能なカウンターバランスシステム搭載。スピーディにカメラを取り付け、セットアップできるスライディングプレート付属。フォト用三脚等のマルチな接続に適したフラットベース。外部アクセサリー接続に便利なイージーリンクコネクター搭載。カウンターバランス4kg、自重1.6kg、高さ13cm
SlypodEを装着したビデオ雲台 ©
ビデオ雲台の入門機という位置づけのようです。水平方向と垂直方向に対して、フリクションコントロール(油圧の抵抗)による滑らかなカメラアングル操作が可能になる製品です。既に写真用の雲台も持っているのですが、こちらの製品の方が安定性が高い事がわかりました。スライダーの移動時にもカクつく事が無かったので、Slypod用としても使用しています。
また、三脚とビデオ雲台の間には以下のレベリングベースを使用しています。
SlypodEで使用したレベリングベース(水平取り)
こちらはビデオ雲台を水平に保つために必要なパーツです。動画撮影で愛用しています。
カメラ雲台の水平を取るために便利な機材です。価格が安く、安定性も高いのが特徴です。三脚と雲台の間に装着して使用します。プロバージョン調整範囲:±10度。三脚マウントねじサイズ:3/8インチのメスネジ、1/4インチのオスネジと変換ネジが付属しています。
一般的には、ビデオ三脚とハーフボールと呼ばれる水平を取るパーツを使うことが多いと思いますが、手元にあるのは写真用三脚のみでしたので、写真用三脚をビデオ三脚として兼用する目的で使用しています。詳しい解説は別の記事で説明していますので、ご覧ください。
Aircross2の併用と転倒対策(カウンターウェイト)
SlypodではAircross2(別記事にて解説)などのMOZA製品や一眼レフを装着して使用することができます。
一眼レフやミラーレスカメラで滑らかな映像を撮ることができます。自動調整(Autotune)やダイヤルによるフォロースピードやジョイスティックの調整も簡単にでき、細部にわたり完成度の高いジンバルです。使い方は解説レビューもご覧ください。更に、同メーカーの電動スライダーSlypodとも連携できます。※現在は後継機種となるAirCross3が登場しています。
今回はSlypodE用の雲台にMOZA Aircross2と一眼レフを装着してみました!SlypodEと雲台の接続に不安が残る(後述)ものの、使用することができました。
MOZA Aircross2とSlypodE ©
ただし、重量の偏りがあるため、三脚の足を開かないと転倒の恐れもあります。実際に組み合わせて使用を考えている方は、以下で解説されているようなカウンターウェイトがあると安心です。
私の場合は室内で使用するケースが殆どなので、上記にある4.3kgのカウンターウェイトを使用しています。
SlypodEにMOZA Aircross2を搭載する場合にはカウンターウェイトを使用するのが安心 ©
MOZA SlypodEのボタン操作と使い方について
MOZA Slypodのボタン操作やスマホアプリの操作について解説していきます。まずはボタン操作です。Slypod本体の伸縮可動部分とは反対側にあたるグリップの近くに、以下のボタンがあります。
電源ボタン(丸い形状)
電源ONやOFF、停止、休止などをコントロールできる
SlypodEの電源ボタン。シルバーの丸い形状が目印。 ©
+ボタン(+と印字)
SlypodEのスライダーの伸びる方向へのコントロールができる
SlypodEの+ボタンとーボタン(伸縮操作ボタン)。写真から見て手前にあるのはUSB端子。 ©
ーボタン(ーと印字)
SlypodEのスライダーの縮む方向へのコントロールができる
上記の3つが備わっています。これらのボタン操作について順番に見ていきましょう。
MOZA SlypodEの電源ボタン操作方法について
電源ON・電源OFF(電源ボタン3秒押し)
MOZA SlypodEのグリップ部分に丸いボタンがあります。
SlypodEの電源ボタン ©
そちらは電源ボタンとなっており、3秒以上長押しすると電源が入ります。電源ON時にはLEDが緑色に光ります。電源ONの時に、電源ボタンを更に3秒長押しすると電源OFFとなります。
撮影する(電源ボタン1回押し)
電源ボタンを1回押すと、SlypodEにケーブル接続されたカメラの方で撮影を開始できます。尚、撮影用のリモートケーブルは別売りとなっています。
一時停止する(電源ボタン2回押し)
電源ボタンを2回押すと、動作しているSlypodEの動画を一時停止します。
原点リセット&電源OFF(電源ボタン3回押し)
電源ボタンを3回押すと、スライダーが最短の長さへ縮まります。そして、最短に移動したらSlypodEの電源がOFFとなります。このボタン操作は、SlypodEの使用を終了したい時に便利な機能です。なお、この動作中はLEDが赤い色に点滅します。
MOZA SlypodEの+ボタンやーボタン操作方法について
MOZA SlypodEのグリップ部分に+
と-
のボタンが備わっていますが、こちらはスライダーの伸縮をコントロールできます。
SlypodEの+ボタンとーボタン(伸縮操作ボタン)。写真から見て手前にあるのはUSB端子。 ©
+ボタン(Extend+)は、SlypodEの伸び方向への動作開始や加速などをコントロールでき、ーボタン(Retractー)ボタンは縮む方向へのコントロールが出来ます。
スライダーの動作開始(停止中に+・ーボタンの1回押し)
MOZA SlypodEが停止中に、+ボタン(Extend+)やーボタン(Retractー)を1回押すと、伸縮が開始されます。はじめに1回押すと、分かりにくいほど微速でスライダーが動き出します。
この後でも解説しますが、+ボタン(Extend+)やーボタン(Retractー)の長押しや、複数回ボタンを押す操作によって、スライダーの伸縮スピードが徐々にスピードアップされていきます。
スライダーの伸縮スピードを加速&減速(伸縮中に+・ーボタンを1回押すごとに)
MOZA SlypodEが伸縮動作を行っている最中に+ボタン(Extend+)やーボタン(Retractー)を押すごとに、伸縮スピードの加速や減速が行われます。
連続的にスピードを加速、または減速したい時には+ボタン(Extend+)やーボタン(Retractー)を長押しします。
スライダーの動作開始とスピード加速&減速(停止中に+・ーボタンを長押し)
MOZA SlypodEが停止中に、+ボタン(Extend+)やーボタン(Retractー)を長押しすると、伸縮の動作開始とともに、スライダー動作が徐々にスピードアップされていきます。
前項目のスライダー動作開始と伸縮加速&減速を同時に行いたい時に便利です。
往復モード(+・ーボタンの同時長押し)
+ボタン(Extend+)とーボタン(Retractー)を長押しすると、自動で伸縮を繰り返します。この動作中は青色のLEDが光り、モードの切り替えを教えてくれます。
動作リセット(電源ボタン・+・ーボタンの同時押し)
電源ボタンと、+ボタン(Extend+)とーボタン(Retractー)を同じタイミングで同時に押すと、MOZA SlypodEの動作がリセットされます。
MOZA SlypodEのアプリ操作方法について(MOZA Master)
MOZA SlypodEでは、スマートフォンアプリの「MOZA Master」によって遠隔操作で、スライダー伸縮を行うことができます。またリンケージ制御(連携機能)と呼ばれるメニューから、複数のMOZA製品をアプリから同時コントロールすることもできます。
私の場合はジンバルのMOZA Aircross2(別記事にて解説)が手元にありますので、一緒に連携操作する機能がとても便利だと感じました。Aircross2を使うと、SlypodEのスライダー動作に加えて、Aircross2の上下左右斜めの動きを設定することができます。
SlypodEとMOZA Aircross2を使用した例 ©
ただし、重量バランスが不安定になりますので、重りで対策(別の項目にて解説)をした方が良いかと思います。
まずは、MOZA SlypodE単体のアプリ操作方法について見ていきたいと思います。
SlypodEとスマートフォンの接続(Bluetooth)
まずはSlypodとスマホの接続を行います。スマホアプリは「MOZA Master」というアプリを予めインストールしておきましょう。
MOZA Masterの画面。起動したSlypodEを選択し「入力」をタップ ©
SlypodEが電源ONとなっていると、上部の端末リストにSlypodが表示されます。まずはSlypodEをタップしましょう。タップすると接続というボタンが現れますので、接続後に入力をタップします。
アプリMOZA Masterの画面と各メニュー
MOZA SlypodEとスマートフォンアプリ「MOZA Master」の接続が完了すると次のような画面に切り替わります。
MOZA Masterのメニュー画面 ©
画面中には以下のメニューコマンドが用意されています。
リモート
MOZA SlypodEの伸縮をスマホからコントロールできます。リモートでは「通常モード」・「変速モード」・「加速モード」の3つの動作が用意されています。
クリエイティブビデオ
リモートよりも更に複雑な動きを遠隔でコントロールできます。クリエイティブビデオでは「セグメンテーションモード」・「ステップモード」・「勾配ステップモード」の3つの動作が用意されています。
静音モード
SlypodEの伸縮スピードを落とす代わりに、動作音を軽減させるモードです。静音モードは残念ながら、速度を落とした時と実質的に変わらない動作となるようです。
アップグレード
いわゆるファームアップデート機能です。SlypodEを充電中に、スマートフォン経由でSlypodEの本体ファームウェアをアップデートできます。
設定
SlypodEのLEDの光り方など、本体設定をカスタマイズできます。
リンケージ制御
MOZA Aircross2など、他のMOZA製品と連携した遠隔コントロールができます。
それでは、上記のリモートとクリエイティブビデオの各機能を見ていきます。
MOZA Masterリモートの3つの動作について
SlypodEのアプリ機能である、リモートについて見ていきましょう。
リモート→通常モード(Regular Mode)
SlypodEの通常モードでは、画面下部のメニューにある上向きと下向きを押してる間は、MOZA SlypodEが伸縮を行います。また、ボタンを離すと停止します。伸縮の動作は最長端や最短に達すると急激に減速します。
MOZA Master→リモート→通常モードの画面 ©
伸縮位置は0mm
から280mm
まで数値で把握できます。SlypodEの伸縮スピードはスピードから変更できます。
スマホから遠隔で撮影コントロール
カメラアイコンのボタンをタップすると、撮影をスマートフォンからコントロールできます。ただし、この機能を利用するには、別売りのUSBケーブルが必要になります。私の場合は、カメラの撮影ボタンを直接押して操作しています。
リモート→変速モード(Gearshift Mode)
SlypodEの変速モードでは、画面下部のメニューにある上向きと下向きを1回押すと、SlypodEの伸縮が開始されます。指定したスピードまで滑らかに加速し、最長端や最短に達すると徐々に減速します。
こちらは短時間で減速と加速を行うため、イーズイン&イーズアウトのような効果を撮りたい時に役立ちます。
MOZA Master→リモート→変速モードの画面 ©
リモート→加速モード(Acceleration Mode)
SlypodEの加速モードでは、画面下部のメニューにある上向きと下向きを1回押すと、SlypodEの伸縮が開始されます。さらに、右に配置されたスピードに達するまで徐々に加速を行い、0mm
または280mm
まで自動で伸び続けます。最長端や最短に達すると急激に減速します。
MOZA Master→リモート→加速モードの画面 ©
MOZA Masterクリエイティブビデオの3つの動作について
SlypodEのアプリ機能である、クリエイティブビデオについて見ていきましょう。
クリエイティブビデオ→セグメンテーションモード(Segmentation Mode)
SlypodEのセグメンテーションモードでは、複数の移動経路を決めることができ、その経路ごとに異なる伸縮スピードを設定できる機能です。
MOZA Master→クリエイティブビデオ→セグメンテーションモードの画面 ©
例えば、上の画面中のS
からE
は移動経路の1つです。ここから更に、2つ以上の移動経路と電動スライダーの移動スピードを選択できます。移動経路が決まったら画面右にある開始ボタンをタップします。
クリエイティブビデオ→ステップモード(Step Time-Lapse)
日本語だと分かりにくいのですが、SlypodEのステップモードは写真撮影用のタイプラプス機能です。
MOZA Master→クリエイティブビデオ→ステップモードの画面 ©
ステップモードでは、カメラで設定した露出時間(シャッタースピード)と同じ時間を、SlypodEを制御するMOZA Masterでも設定します。この露出時間中はSlypodEが静止をします。そして、次の静止位置までスライダー伸縮を行い、再び静止を行う動作を行います。
ステップモードでは以下の設定を決めます。
ステップの合計長さ
タイムラプス撮影に必要な時間を確認できます。
フレーム番号(写真の撮影枚数)
撮影するタイムラプス写真の合計枚数です。ここで指定したフレーム数だけ、Slypodが停止して写真撮影ができます。
サイクルタイム(スライダーの伸縮回数)
SlypodEの伸縮を繰り返す回数。例えば、サイクルタイムが1.0
の場合には最長端まで伸びます。0.5
の場合は、半分の長さまで伸びます。2.0
の場合は伸縮を1回行います。
露出時間(写真撮影のシャッタースピード)
写真撮影を行う際の露出時間を設定します。
インターバル(次の静止位置までの移動時間)
Slypodは写真撮影のために、前項で指定した露出時間中は静止しますが、次の静止位置までの移動時間が「インターバル」です。
クリエイティブビデオ→勾配ステップモード(Gradient Step Time-Lapse)
こちらも日本語が分かりにくいですが、SlypodEの勾配ステップモードは写真撮影用のタイプラプス機能です。前述のステップモードと異なるのは、複数の異なる移動パターンを設定できる点です。ステップモードよりも更に複雑な動作が可能になります。
MOZA Master→クリエイティブビデオ→勾配ステップモードの画面 ©
気になる点(改善して欲しい点)
MOZA SlypodEを使用していて気になった点をまとめたいと思います。
雲台との間に隙間ができてしまう
SlypodEでは前述した通り、自身で別売りのカメラ雲台を用意する必要がありますが、私が用意した雲台では、SlypodEの先端部分とカメラ雲台の間に1m〜2mくらいの隙間が出来てしまいます。
SlypodEの先端とカメラ雲台との間に隙間が…! ©
隙間が出来てしまう理由は、SlypodEに付属されるネジの皿の部分に厚みがあり、SlypodEの先端ゴムと比べて高さがあるためです。
付属のネジの皿の部分に厚みがあり、SlypodEの先端ゴムと比べて高さがある ©
隙間ができてしまうと、その分だけ接地面積と摩擦抵抗が減りますので、カメラ雲台の固定力低下と、滑り落ちが心配されます。実際に使用したところ、次のような結果となりました。
カメラとレンズ(総重量1kg
前後)
問題なく使用でき、雲台のネジがズレて回転してしまうことは無かったです。
カメラとレンズとMOZA Aircross2(総重量2.5kg
)
締め付けが甘いと、雲台底面のネジがずれて回転してしまいそうな時もありました。気づいたときに雲台を締め直しています。
この件について、MOZAの担当の方に確認したところ、残念ながら仕様とのことです。気になる方は、自身でゴムを購入して隙間を埋めるなどの工夫が必要になるかもしれません。またMOZA Slypod通常版では専用の雲台も付属しているので、Aircross2などの機材を取り付ける方は、そちらを購入するのが無難かもしれません。
MOZA SlypodEの取扱説明書(pdf)
MOZA SlypodEの説明書については、メーカーであるGudsenのホームページにて公開されています。詳しくは以下をご覧ください。
MOZA Slypod 取扱説明書マニュアル(英文)