旧機種であるDJI RS2 Proコンボ(過去記事へ)に続き、DJI RS3 Proコンボを購入しましたので、両機種を使い比べた違いをブログでまとめたいと思います。RS2の完成度も非常に高くて満足していたのですが、DJI RS3 Proコンボでは、RS2で使いにくかった点が細かく改善されているのを実感しました。
結論ですが、結果的に購入してみて良かったと思いました!
DJI RS2(左)とDJI RS3 Pro(右) ©
今回は両機種を触ってみて、DJI RS3 Proの良かったところを順番に見ていきたいと思います。これからRS3 Proを使ってみようと考えている方の参考になりましたら光栄です!同様に、RS3を検討されている方にも参考になるかもしれません。
現在はDJI RS3 ProとRS3を1台ずつ使っています。
目次:DJI RS3 ProとRS2の違いをレビュー。後継機で何が変わったのか?
ジンバルアームが大きくなった
ジンバルのアームが短いと搭載できるカメラやレンズの選択肢が必然的に狭くなります。DJI RS2でもアームが十分に大きかったのですが、DJI RS3 Proでは更に大きくなりました。
まずは、アームを折りたたんだ状態で見比べてみると、RS3 Proの方が大きい事が分かりますよね。
アームを収納した状態。DJI RS2(左)とRS3 Pro(右) ©
同じレンズではありませんが、それぞれのジンバルにカメラを搭載してみました!DJI RS2にはα7IVとFE 12-24mm F4 G、DJI RS3 Proにはα7SIIIとFE PZ 16-35mm F4 Gを載せて、それぞれバランスを取っています。
アームが大きくなっている。DJI RS2(左)とRS3 Pro(右) ©
アームが大きくなっている。DJI RS2(左)とRS3 Pro(右) ©
アームが大きくなっている。DJI RS2(左)とRS3 Pro(右) ©
アームが大きくなっている分だけ、高さも高くなるようです。 ©
DJI RS3 Proの搭載可能重量(ペイロード)は4.5kg
となっていて、DJI RS2と公称値は変わりません。
凄いのは、本体重量がDJI RS2とRS3 Proで殆ど変わらないことです。載せられるカメラの選択肢が増えたのに凄い進化だなと思います。RS3はRS3 Proに比べて小さいアームとなっているようです。
各軸ロックスイッチの自動化
DJI RS3とRS3 Proでは自動軸ロックが搭載されました!各軸のロックスイッチは、DJI RS2やRSC2等では、手動でロックしたり解除して、各軸の動きを固定することができました。
他社製品のジンバルでも、こういった形状がまだまだ一般的ですが…
DJI RS2のロック機構。これまでは手動で操作する仕様だった ©
DJI RS3 Proではスイッチの配置も変わり各軸のロック機構が電動式に進化しました。手元のコントローラーから自動でロックと解錠が行われます。
DJI RS3 Proのロック機構。手動で操作できるだけでなく、電動式となり自動でロックや解錠できる仕組みにアップグレードされた ©
休止モードにした直後の様子。DJI RS2(左)とDJI RS3 Pro(右) ©
従来のDJI RS2では、電源OFFや休止時にすると、各軸がブラブラしていましたが、RS3では自動で各軸が動いてロックされます。また、電源OFFでは動作内容が変わり折り畳まれます。しかも、ロール軸は他の軸と干渉しないように少し手前で止まるんです。芸が細かいですよね(笑)
電源ON→電源OFFにした直後の様子。ロール軸は少し手前まで自動的に回転し、その後ロックされる ©
動作をまとめると次のようなパターンになります。
自動軸ロックの動作パターン
電源ON中に電源ボタンを2回押し(休止モード)
→ 基本ポジションにアームが移動後、その後ロックスイッチがロックされます。
このポジションでロックされる ©
電源ON中に電源ボタン長押し(電源OFF)
→ アームが折りたたまれ、省スペースな形状に変形。ロックスイッチがロックされます。
このポジションでロックされる ©
このポジションでロックされる ©
休止モード中に電源ボタン長押し(電源OFF)
→ 基本ポジションのまま、電源がOFFとなります。
このポジションでロックされ電源OFFに ©
休止モード中に電源ボタン1回押し(再始動)
自動でロックが解除され、基本ポジションに向かってアームが回転して、電源ONに。撮影できる状態となります。
DJI PocketやOSMO Pocketを使ってる方は、それと似たような動きだと思って頂くとイメージしやすいと思います。届く前は必要ない機能だと思ってましたが、いざ使ってみると便利だなと実感しました!特に、レンズや機材の交換をしたい時には、わざわざ各軸のロックをしなくても良くなり、作業がスムーズに進みますね!一度この機能を味わうと、もう他の機材へ戻れなくなりそうで怖いです 😂
ジンバルフォローモードの変更がスイッチ式に
ジンバル本体に内蔵されたカラーディスプレイのUIは、従来から大きく変わった内容の1つです。DJI RS2やRSC2では、ディスプレイの画面タッチ操作によって、ジンバルモードの変更ができました。これに対してDJI RS3とRS3 Proでは、側面スイッチからジンバルモードの切り替えが可能となりました。
またディスプレイをよく見比べてみると、画面サイズがやや大きくなり、輝度も高くなっています。使用していない間はディスプレイの明るさが暗くなり、省電力モードに切り替わるようです。
DJI RS3 Proでは側面スイッチからモード切り替えが可能になった ©
DJI RS3 Proでは側面スイッチからモード切り替えが可能になった(拡大) ©
逆に、DJI RS3 Proではタッチパネル操作からモード変更することができず、メッセージが表示される仕様になっています。
RS2ではタッチ操作でモード変更できたが、RS3 Proではそれができない ©
RS3 Proではメッセージが表示される ©
DJI RS3 Proの側面スイッチから切り替えられるジンバルモードは次の3通りです。
モードスイッチで選択できること
DJI RS3 Proのモード切り替えスイッチ ©
従来モデルのDJI RS2でカスタム設定を行うには、タッチ操作を何回も行う必要がありました。これはとても面倒に感じてた不満点でした。これに対して、RS3 Proではスイッチ切り替えで呼び出せる「FPV」がカスタムの対象となります。
RS2では各モードをスワイプしていき、「カスタム」を選択していきますが、RS3 Proでは「FPV」のアイコンをタップします。
DJI RS3 Proのカスタム設定へ進むには「FPV」アイコンをタップする ©
DJI RS3 Proは各モード選択の中から「カスタム」へスワイプする ©
画面右上のアイコンをタップすると、各軸カスタムへ移動できる ©
各軸カスタムの画面 ©
こうして見ると、DJI RS3の方がメニュー階層が深くなっていますね。
チルトフォロー、ロールフォローなど個別の軸のみをフォローさせることもできますが、一度設定したら側面スイッチの「FPV」からすぐ呼び出せます。逆に、FPVや3Dロールなどを呼び出したい時は、同様の操作を行ってモードを切り替える手間が必要となります(ちょっとデメリットですね)。
オールロックは、同様の操作でFPVから各軸をカスタムするか、トリガーを押している最中に画面をタップすると常に固定される動作になります。
できれば側面スイッチはカスタム1、2など独立してカスタム設定を用意して貰えたら良かったかもしれませんが、最小限に留めている分だけ、スイッチ操作が複雑にならず、選択しやすくなったと好意的に捉えることもできます。
また、従来のMボタンから呼び出せるプロファイルという概念が変わり、各モードスイッチ毎にフォロースピードなどが記録されるようになりました。
これ以外にもUIが大きく変わっており、良い意味でスッキリしています。例えば画面を上方向へスワイプしていくと、DJI RS2ではRavenEyeの設定画面でしたが、DJI RS3 Proでは詳細設定へ移動できます。(RS3では、RavenEyeの設定画面は左スワイプへ変更されています。)
DJI RS3で上方向にスワイプしていくと、詳細設定やBluetooth設定アイコンが表示される ©
また、フォロースピードやジョイスティックの反応速度を1%
刻みで変更できるなど、細かい部分も改善が加えられています。DJI RS2ではタッチディスプレイ操作から5%
刻みに変更可能でしたので、これは非常にありがたいアップデートだなと思います。
反応速度の変更画面。大まかなスピード設定も可能 ©
カスタム設定は1%刻みで変更できるようになった ©
カスタム設定は1%刻みで変更できるようになった。RS2では5%ずつしか画面上で変更できない(アプリから変更可能) ©
Bluetooth対応でカメラケーブルが不要に
カメラの動画撮影や写真撮影をジンバルのコントローラーから行うには、今までは付属ケーブルをカメラに接続するのが必須条件でした。これに対して、DJI RS3とRS3 ProではBluetooth接続…つまりワイヤレスでカメラと接続できるようになりました。
DJI RS2ではケーブル接続が必要でした ©
DJI RS2ではケーブル接続を行い、RS2本体の電源を入れた後でカメラの電源を入れないと、リモートレリーズとして認識されない仕様であり、手順を覚えていないと使いにくい機能の1つでした。
旧機種DJI RS2でケーブルを有効にする手順
- ケーブルをDJI RS2本体とカメラに接続
- (ケーブル接続後にバランス調整を行う)
- (DJI RS2本体の電源を入れる)
- (オートチューンを行う)
- カメラの電源を入れる
RS2ではケーブル接続だったが、RS3はBluetooth接続対応となった ©
対して、DJI RS3 Proでは一度カメラとペアリングしておくと、これ以降はわざわざケーブル等を接続する必要がありませんので快適になりました。更にとても良く出来ているのが再接続のプロセス。カメラの電源をOFFにした後、再びONにしても、RS3 Pro側でBluetoothの再接続を行ってくれるので、操作は不要なんです。
ジンバル本体からのコントロールは常に使う機能なので、これは本当にDJI RS3 Proを使ってみて満足感が高い改良点だと思いました。
グリップが一体化したNATOハンドルが付属
DJI RS2ではブリーフケースハンドル用のグリップが付属されず、不便を感じてたのですが、DJI RS3やRS3 Proでは、NATOハンドルとグリップが一体化された物が付属されました。
NATOポートの形状はDJI RS2もRS3 Proも同じ ©
付属されるハンドルの違い ©
まずはDJI RS2に付属されるブリーフケースハンドルを見ていきましょう!
DJI RS2に付属されるブリーフケースハンドル ©
DJI RS2に付属されるブリーフケースハンドル ©
DJI RS2に付属されるブリーフケースハンドル ©
NATOクランプで、取り付け&取り外しが簡単でしたが、先端の1/4インチカメラネジ(メス)に別売りのミニ三脚やグリップを装着する必要がありました。これに対して、DJI RS3 Proでは以下のようなハンドルが付属します。
RS3に付属されるNATOハンドル ©
RS3に接触するクランプ側はメタル製ですが、ハンドル側が樹脂製のようです。全体はとても軽量に作られています。
RS3 Proに付属されるNATOハンドルを分解してみた ©
ハンドル末端はコールドシューマウントやARRIピン付きカメラネジが付属 ©
RS3 Proに付属されるNATOハンドルを取り付けた様子 ©
少し気がかりなのが強度。外見は一部プラスチック感があり安っぽいので、折れない事を祈りたいです。初見では軽くて邪魔にならず良さそうな印象はあります。DJIなので、流石に折れることは無いと思いますが、果たしてどうなるか…!?
フォローフォーカスモーターのトルク強化
DJI RS2コンボやDJI RS3 Proコンボを購入すると付属されるフォローフォーカスもパワーが強化されたようです。外見を見比べてみると、形状や端子など大きく変わっています。
フォローフォーカスの比較。DJI RS2(左)とDJI RS3 Pro(右) ©
フォローフォーカスの比較。DJI RS2(左)とDJI RS3 Pro(右) ©
フォローフォーカスについてはまだ詳しい性能を検証できていないのですが、従来難しかったレンズのズームリングなどの操作もできるようになれば、かなり自由度があがりそうです!
DJI RS3 Proに付属されるフォローフォーカスの使用感については以下のYoutubeでご紹介しています。
まだまだ十分に使い込んでいませんが、上記のような細かい部分が使いやすくなっているのを実感できました。基本性能については、DJI RS2と比較して劇的な進化は実感しませんので、正直言って、従来機でも必要十分と言えば十分だと思います。今はDJI RS2の価格が発売当初よりも安くなっていますし。ただ、上記のような細かな改良点は撮影中の細かな面倒やストレスを解消してれる重要な部分なので、個人的には凄く満足度が高いです。