マニュアルフォーカスレンズや、オールドレンズ等でオートフォーカスを可能にする「DJI 3D Focus System(3Dフォーカスシステム)」を購入してみましたので、ブログで使用感想や使い方をまとめます。
まず、3D Focus Systemとは何か?について説明すると、この製品はオートフォーカス(AF)に対応していないレンズでAFを可能にできるアクセサリーなんです。例えば、オールドレンズやシネレンズなどのMFレンズ、そしてBMPCC4Kや6Kなどのオートフォーカスが苦手なカメラレンズで特に効果を発揮してくれます。
ただし、DJI RS2 Proコンボというジンバル製品(スタビライザー)に付属しているフォローフォーカスと組み合わせる事を想定した機材となっており、現状ではRS2の専用機材です。
レンズと被写体の距離を自動で検出し、マニュアルフォーカスレンズの中央AFフレームを有効にします。
今回は、オールドレンズのHELIOS-44 2/58を装着して、3D FocusSystemを装着してみました。早速ですが、動作感は次のツイッターのような感じになりました。マニュアルフォーカスレンズでも軽快な動作です!
手をカメラの近くにかざすと、手前にピントを合わせようと自動でフォーカシングしてくれます。AFの速度も機敏に反応してくれて、滑らかにピント送りをしてくれます。
仕様上の説明では、本体の赤外線センサー(LiDIR)が捕捉できる8m
以内の対象物が、画面中央にある時にオートフォーカスを自動で行ってくれます。使用するレンズは85mm以下の焦点距離が推奨されています。残念ながら、85mmを超える中望遠レンズや超望遠レンズは想定されていないようなので、その辺りは注意です。
また、AFとMFの切り替えも簡単です。3Dフォーカスシステムの本体に備わっているボタンを押すか、タッチスクリーンの方でマニュアルフォーカスやオートフォーカスの変更ができます。
タッチスクリーンによるAFとMFの切り替えボタン ©
本体上部にあるAFとMFの切り替えボタン ©
今回はDJI 3Dフォーカスシステムの中身と、装着した様子、導入するまでの使い方を簡単にご紹介していきます。
目次:DJI 3D Focus Systemのレビューと使い方解説
DJI 3D Focus Systemの内容物
まず、購入した際に含まれる中身を見てきましょう。このような内容物になってます。
3Dフォーカスシステムの内容物 ©
- 元箱・ウレタン緩衝材
- USB Type-Cケーブル(長さ30cm・両端がType-C)
- 取扱説明書(日本語表記あり)
- 3Dフォーカスシステム本体
- ホットシュー → 1/4インチ雄ネジ・アダプター
基本的には、別売りのジンバル「DJI RS2 プロコンボ」と併用して使用する機材なので、アクセサリー類は非常にシンプルな内容となっています。
3Dフォーカスシステム導入方法は、付属される日本語の説明書でも読み進めることができます。また、この後でも触れますが、USB Type-CケーブルはDJI RS2に同梱されている1本と、3Dフォーカスシステムに同梱されている1本を合わせた、合計2本のUSB Type-Cケーブルを使うことになります。
DJI 3Dフォーカスシステムの端子やボタン
続いて、本体に備わっている端子やボタンを見ていきましょう。まず、正面には2つの赤外線センサーが搭載されています。
3Dフォーカスシステムの外観 ©
本体の上部にAF/MF切り替えボタンがあります。こちらはボタンを押すたびに、オートフォーカス(AF)とマニュアルフォーカス(MF)を切り替えられます。AFかMF状態なのかは、上面にあるLEDランプで確認ができる仕組みとなっています。
そして、本体の両側面にはUSB Type-Cケーブルの端子が備わっています。
3Dフォーカスシステムの外観(上部・側面) ©
3Dフォーカスシステムの外観(上部・側面) ©
本体の底面はホットシューの形状になっており、一般的なカメラでは上部に取り付けることができます。
3Dフォーカスシステムをカメラ上部に取り付ける ©
DJI 3Dフォーカスシステムの装着方法
それでは、取り付ける手順を見ていきましょう。まず完成図をご覧いただきたいのですが、全てのアクセサリー装着が完了すると、次のようなイメージになります。
3Dフォーカスシステムをカメラに装着した完成図 ©
USBケーブル2本が、3Dフォーカスシステムの両端にあるUSB端子に接続されており、左側はRS2のUSB端子へ。右側はフォーカスモーターのUSB端子に接続されています。
3Dフォーカスシステムをカメラに装着した完成図 ©
また、3Dフォーカスシステムを導入するには、DJI RS2に付属されるロッド等も必要になります。続いて、そちらのアクセサリーについても見ていきましょう。
カメラプレートとロッドをカメラに装着
まず、カメラにフォーカスモーターを固定するためのロッドをネジで固定していきます。各パーツはDJI RS2のプロコンボに含まれている次のアクセサリーを使います。
左から、カメラプレート・フォローフォーカスに必要なアクセサリ。DJI RS2のプロコンボに同梱されている ©
内容としては、左から順に以下のような名称となっています。
カメラプレート(2点の穴が付いているもの)
カメラプレートは2種類あります。2点の穴が付いているものと、穴が付いていないものがありますが、今回は穴のついているプレートを使います。カメラとプレートは、「D-Ring カメラ取り付けねじ 1/4-20」でネジ締めできます。
カメラにプレートを装着した様子。コイン不要でネジ締めができる ©
フォローフォーカス(フォーカスモーター)
ロッドマウント・キット
棒状のロッドと、ロッドを固定してカメラプレートをネジで固定する「ロッドマウント」が用意されています。
ロッドマウントキットとカメラプレートの装着例 ©
フォーカスギア・ストリップ(ギアベルト)
レンズに巻きつけて、フォーカスモーターのギアと噛み合わせるためのもの。
フォーカスギア・ストリップはレンズのフォーカス部分に巻きつける ©
レンズが細いと、ギアベルトの一部が余ってしまいます。余ったギアベルトは他の箇所と干渉してしまう恐れがあるので、私の場合は輪ゴムなどで固定しています。
余った分は輪ゴムなどで固定しておくと良さそうです ©
DJIフォローフォーカス+USBケーブルの配線でMF操作のみ可能
まず、DJI 3Dフォーカスシステムを使わずに、DJI RS2のプロコンボに含まれる
- フォローフォーカス(フォーカスモーター)
- USBケーブル
- ロッドマウントやフォーカスギアストリップ
だけで配線すると、次のような感じになります。
フォーカスモーターの装着例 ©
こちらの配線方法はRS2のUSB端子からフォローフォーカスへ、USB Type-Cケーブルが繋がっているだけです。
フォーカスモーターの装着例(3Dフォーカスの導入前) ©
DJI RS2のプロコンボに付属しているアクセサリーを使ったこの組み合わせだけでも、レンズのマニュアルフォーカス(MF)は可能になります。DJI RS2を起動して、タッチスクリーンの裏側にあるフォーカスホイールを回すと、モーターが動き出し、レンズのピント操作が可能になります。
フォーカスホイール。こちらを回すと、レンズのMF操作ができる ©
まずは、この組み合わせで、レンズのピントリングを操作できるか確認するのがオススメです。問題なくマニュアルフォーカス操作ができましたら、3Dフォーカスシステムを装着して、各配線を行っていきましょう。
3Dフォーカスシステムをケーブル接続する手順
続いて、3DフォーカスシステムをDJI RS2やカメラと接続する方法を見ていきましょう。今度は3Dフォーカスシステムをカメラの上部に取り付けます。
3Dフォーカスシステムをカメラ上部に装着。両端のUSB端子と接続 ©
続いて、USB Type-Cケーブルの配線を次のように変更します。
3DフォーカスシステムのUSB端子(左側)
DJI RS2のUSB端子と接続します。端子は3つあるのですが、真ん中の端子(上から2番目)と接続します。
左側の配線(RS2と3Dフォーカスシステム) ©
3DフォーカスシステムのUSB端子(右側)
フォローフォーカス(フォーカスモーター)のUSB端子と接続します。
右側の配線(3Dフォーカスシステムとフォローフォーカス) ©
DJI RS2のUSB端子が始点だとすれば、RS2 → 3Dフォーカスシステム → フォローフォーカスの順番でUSBケーブルが繋がっていれば、準備はOKです。
3Dフォーカスシステムの設定方法(キャリブレーション)
各機材の接続が完了したら、次の2つのキャリブレーションを行う必要があります。
先にフォーカスモーターをキャリブレート
フォーカスモーター(フォローフォーカス)側の初期設定です。レンズに巻きつけたフォーカスギアの始点と終点を自動で調べてくれます。
3Dフォーカスシステムのキャリブレーション
3Dフォーカスシステムのセンサーで自動計測した距離と、レンズの合焦するピント位置を設定します。具体的には、1mの距離と4mの距離の合計2点で、ピントを合わせる作業を手動で行うことになります。
使い方(設定画面とキャリブレーションの方法)
それでは、具体的な3Dフォーカスシステムの使い方や、キャリブレート設定手順について見ていきましょう。設定操作は、DJI RS2の本体に備わっているタッチスクリーンで行います。まず、以下の手順でタッチ操作して「3Dフォーカス」という項目を探します。
(※ご注意)DJI RS2のファームウェアアップデートにより、設定項目の位置が変更されてしまう事がありますので、参考程度にしてください。
当記事の作成時には、以下の手順となっています。
「3Dフォーカス」をタップする ©
先にフォーカスモーターをキャリブレート
下記の画面が、3Dフォーカスシステムを使う際の画面になります。AFやMFを切り替えたり、設定情報を保存&読み込みができます。
初めは何も初期設定が作られていないので、1から順番に設定を行っていきます。下の方にある「レンズキャリブレーション」をタップしましょう。
「レンズキャリブレーション」をタップする ©
まず初めに行われるキャリブレーションは、フォーカスモーターの初期設定です。「キャリブレーションを開始」をタップします。
「レンズキャリブレーション」を開始 ©
タップすると、フォーカスモーターが回転し、レンズの回転できる始点と終点を自動で割り出してくれます。無事に終了すると、次のような成功のメッセージが表示されます。
「レンズキャリブレーション」が成功した ©
エラーが発生する場合の対処方法
モーターが空回りしたり、回転ができない状態であると、キャリブレーション中にエラーが発生します。その場合はフォーカスモーターのみの組み合わせに変更して、レンズがマニュアルフォーカス操作できるかチェックしてみてください。
3Dフォーカスシステムを一旦外して、フォーカスモーターとRS2を直接繋いだ、シンプルな配線例 ©
レンズ1をキャリブレーション(3Dフォーカスの初期設定)
続いて、3Dフォーカスシステムで自動計測した距離と、レンズのピント位置を合致させる作業を行います。この作業は2つの距離で行います。
- 被写体(壁や人物)から
1m
離れて、手動でピントを合わせ - 被写体(壁や人物)から
4m
離れて、手動でピントを合わせ
2点の距離でピント合わせを行うと、その情報を元にオートフォーカスのピント送り出ししてくれる仕組みのようです。
初めは、室内で周りに障害物が無い壁に向かって調整を行うと良いかと思います。ちょっと汚い部屋ですが、こちらの壁を使ってみました。ピント合わせには、扉のつなぎ目を利用して見たいと思います。
例えば、部屋にある壁を使って、キャリブレーションする感じで大丈夫です ©
タッチスクリーンでは、次の画面が表示されます。
「レンズ1をキャリブレーション」まずは1mでピント合わせする ©
対象物から何メートル離れているかは、3Dフォーカスシステムが自動で計測して、画面で知らせてくれますので、まずは1m
と表示される距離まで離れましょう。
1m
まで離れたら、DJI RS2のフォーカスホイールを回しながら、ピントの芯が出る位置に合わせます。
カメラ側の液晶モニターでピントが合う地点まで、DJI RS2のフォーカスホイールを回す ©
DJI RS2のフォーカスホイール。左右に回してレンズのピント調整を行います ©
設定が完了したら、今度は1m
の時と同じ要領で、4m
に離れてからピント合わせを行います。
続いて、4m離れます。 ©
4m離れたらピントを合わせます。 ©
以上で、レンズキャリブレーションの設定が全て完了しました。完了したら、「3Dフォーカス」設定の最初に表示された画面へ戻ります。
MFの状態は、「MF」のエリアが白く表示される事で把握できます ©
画面中の「AF」をタップするとオートフォーカスが有効になり、3Dフォーカスシステムの捕捉できる被写体を自動で追従してくれます。動作感は冒頭で掲載した感じの動きになれば、大丈夫かと思います。
「AF」をタップすると、白く反転し、オートフォーカスが有効を示す状態となる ©
実際に触ってみたところ、覚えてしまえば比較的少ない手順で、オートフォーカス化できるので、面白い製品だなと思いました。DJI RS2やRSC2に対応しているアクセサリーは色々な製品が用意されているのですが、積極的にオールドレンズやシネレンズを動画撮影時に使ってみたい方には、ぜひ導入をご検討してみてください ☺️