ソニーフルサイズEマウントに対応した超広角単焦点レンズである「LAOWA 15mm T2.1 Zero-D Cine」で写真撮影を楽しんでみましたので、ブログで作例やレンズの外観をご紹介していきます。動画撮影例はYouutbeでもご紹介していますので、一緒にご覧ください。
LAOWA 15mm T2.1は、歪曲を抑えた両面非球面レンズ採用。そしてフォーカスリングと、絞りリングの両方に0.8modギア溝を備えた超広角シネレンズです。見た目も、この0.8modギアの存在感がよく伝わるデザインとなっています。また、前玉側に77mm
のレンズフィルターを装着できるので、NDフィルターによる動画撮影時の露出コントロールや、写真撮影時にスローシャッターを楽しむことが簡単です。
レンズの外観とカメラ装着例 ©
NDフィルターを装着できるので長秒露光も行いやすい ©
動画撮影用機材を組み合わせた使用例 ©
レンズは、サイトロンジャパンさんのオンラインショップで購入することができます。
SIGHTRON JAPAN オンラインショップ
LAOWA 15mm T2.1 Zero-D Cine ソニーFE
LAOWA 製品情報
LAOWA 15mm T2.1 Zero-D Cine
製品情報では、Youtube動画を掲載いただきました!
ソニーEマウントのミラーレスカメラに対応し、540gとコンパクトながらも、特別な両面非球面レンズ採用により驚くべき光学性能と、歪み(ディストーション)を抑えた写真撮影が楽しめます。レンズフィルター口径は77mmに対応しています。
重量は540g、寸法はφ84.8mm、長さは約91.2mm。絞り操作やフォーカス操作はマニュアルとなっています。カメラマウントは、フルサイズのSONY FEマウントに対応しています。
当記事では、実際の撮影例をもとに、LAOWA 15mm T2.1 Zero-D Cineの魅力について詳しくご紹介していきます。その他のSonyレンズについては以下をご覧ください。
それではLAOWA 15mm T2.1 Zero-D Cineについて詳しく見ていきましょう。
目次
LAOWA 15mm T2.1 Zero-D Cineの写真作例
それでは、LAOWA 15mm T2.1 Zero-D Cineで実際に撮影した写真をいくつかご紹介していきたいと思います。LAOWA 15mmはレンズ名に「Zero-D」とあるように、一般的な超広角レンズに見られる歪みが極めて少ないのが特徴です。
特に、建築物が映り込む風景写真で役立ちそうです。
建築物を織り交ぜた、広い範囲を撮影するのに最適 ©
今回は、人の流れや、車のヘッドライトの光跡が流れるような写真や、シネグラフを撮って欲しいという撮影依頼を頂きましたので、こちらのレンズを早速活用してみました!LAOWA 15mm T2.1 Zero-D Cineのもう1つ特徴的な長所がレンズフィルターの装着ができることです。
今回は明るい時間帯に、77mm口径に対応したND16フィルターを装着して撮影してみました。
レンズフィルターが装着できる超広角レンズならではの効果を楽しめる ©
撮影設定は次の通りです。
インスタグラムでは、スローシャッターで撮影した写真を使ってシネグラフを楽しんでみました!こういったテイストに仕上げるには、スローシャッターで撮影した写真との相性が抜群に良かったです!!
手持ち撮影が出来そうな限界のシャッタースピードに設定して、頑張って撮影してみました。レンズフィルターが装着できない超広角レンズでは、ここまで遅いシャッタースピードを確保するのに苦労します。特に昼間ではF22まで絞っても難しいケースが多いです。LAOWA 15mmでは、コンパクトなレンズボディ構成で、様々なシャッタースピードに対応できるので、非常に気に入りました!
建物や風景と人物撮影の両方を楽しめる ©
また、レンズの最短撮影距離は15cmということで、かなり近寄れるスペックを持っています。絞りをT2.1の開放値に設定すると、人物撮影でも綺麗にボケてくれます。
絞り開放のT2.1にすると背景もよくボケます ©
当日は色々なスローシャッター写真を撮らせて頂きました。標準レンズから望遠レンズを使ったスローシャッターの撮影は、手持ち撮影では難しいのですが、超広角レンズでは、こういった写真も素早く対応できるのは助かりました。
短時間で素早く撮影でき、歪も少ない ©
思い思いに、色々なポージングを楽しんで頂きました ©
思い思いに、色々なポージングを楽しんで頂きました(2) ©
超広角レンズでは、画面の端に向かうほどパースが強まりますが、LAOWA 15mm T2.1は穏やかな印象でした。これもZero-Dの恩恵でしょうか。思い切って、画面端に人物を配置しても自然な写りを楽しむことができます。
人物を端に配置しても、歪曲を感じない自然な写りが楽しめます ©
超広角レンズを使ったポートレートでは、下から煽るようなアングルで撮影するのが好きです。少々乱暴なアングルでも綺麗にまとまってしまうのは、なんとも不思議です(笑)
思い切ったアングルも冒険できる ©
最後にこちらは、横断歩道の安全地帯で撮影したものになります。何枚か撮影後に、ヘッドライトの光跡などを部分的に輝度合成してみました。
夜景においても写真撮影を綺麗に楽しめる ©
風景写真であれば、30秒など気長に撮影できますが、人がブレない程度のスピードに抑えて撮影しているため、非常に苦労したショットになります。冒頭で別のカットも載せていますが、脇から漏れるヘッドライトの光芒がとても綺麗に写ります。光芒の美しさもLAOWA 15mm T2.1 Zero-D Cineの魅力の1つではないでしょうか。
レンズの外観とカメラ装着例
続いてレンズ外観を見ていきましょう。LAOWA 15mm T2.1 Zero-D Cineは写真用のレンズとは異なり、衝撃から守ってくれるケースが付属されます。見た目からも非常に堅牢さが伝わってきます。
LAOWA 15mm T2.1 Zero-D Cine用レンズケース外観 ©
LAOWA 15mm T2.1 Zero-D Cine用レンズケース外観(2) ©
レンズ本体は、レンズフードも含めて金属の質感が伝わるデザイン。
レンズフードを含め、金属感の伝わるレンズボディ ©
レンズはコンパクトなのですが、小さすぎず、男性の手に収まりが良いサイズ感となっています。
SONY α7RIIIに装着してみた ©
SONY α7RIIIに装着してみた(2) ©
シネレンズならではの特徴
レンズの絞りリングとフォーカスリングは、手動で操作でき、極めて滑らかな操作感です。そして、写真用レンズとは異なり、シネレンズならではの特徴が盛り込まれています。
リングの回転角が大きい
手動または、フォローフォーカスを使った絞り・フォーカス操作が行いやすい
絞りはクリックレス
動画撮影時に多段階へ滑らかなF値変更が可能
レンズ両側面に、絞りとフォーカス目盛りが刻印
左右のどちらか見ても、およその絞りとフォーカス目盛りを目視できる
左側面 ©
右側面。グリップで絞り目盛りが隠れるものの、斜めからは確認が可能 ©
フォーカス目盛りをもう少し詳しく見て行きたいと思います。無限遠から最短撮影距離までフォーカスリングを回していくと、下の画像のようにレンズ上端の目盛りで目視できます。
レンズの向きを180°回転させても、レンズ中心あたりの目盛りによって、フォーカスが確認できるように設計されています。
絞り値に関しても、180°反転させた位置に同じ目盛りが刻印されています。
絞り羽形状
LAOWA 15mm T2.1 Zero-D Cineのレンズの絞り羽は5枚。絞っていくと五角形となります。
NDフィルターやレンズプロテクターが使用できる
前半の作例でもご紹介した通り、LAOWA 15mm T2.1 Zero-D Cineではレンズ前面にフィルターの装着が可能です。NDフィルターや、レンズプロテクターで保護することも可能です。
NDフィルターが装着可能 ©
ただし、可変NDフィルターを使用する場合には超広角レンズによるムラが発生してしまうため、使用は難しそうです。
ジンバルによるフォローフォーカス制御も可能
LAOWA 15mm T2.1 Zero-Dには0.8modギアが組み込まれているため、電動または手動のフォローフォーカスでコントロールが可能です。私の場合はジンバルを使うことが多いので、次のような組み合わせで撮影を楽しんでみました。
フォローフォーカスで直接制御できる ©
例えばMOZA Aircross2というジンバルを活用すると、対応しているiFocus-MのギアをLAOWA 15mm T2.1に噛み合わせるだけで、設定は完了です。Aircross2についてはこちらの記事をご覧ください。
フォローフォーカスで直接制御できる ©
写真用のレンズでは、レンズ側にゴム状のギアベルトを巻きつける作業が必要となり、ひと手間かかります。
話は戻りますが、フォーカサーをレンズにセットしたら、ジンバルのハンドル付近にある、ホイールコントローラーから、フォーカスや絞りの遠隔操作が可能になります。操作の様子はYoutubeの04:01以降をご覧ください。
LAOWA 15mm T2.1 Zero-Dの絞りリングとフォーカスリングは、ジンバルのフォーカサーが持つトルクでも、十分に回転させる事ができる滑らかさとなっています。
電子接点・EXIF記録に非対応
LAOWA 15mm T2.1 Zero-Dの後ろを見ていくと、電子接点には非対応となっています。
電子接点には残念ながら非対応 ©
SONYのミラーレスで手ブレ補正を設定したい時には、カメラ側で手ブレ補正の焦点距離を15mm
に設定する必要があります。
手ブレ補正は、カメラ側の設定画面内で設定する必要があります ©
手ブレ補正を設定する方法
例えば、SONYのミラーレスで手ぶれ補正を設定するには、以下のSONYのホームページが参考になります。
LAOWA 15mm T2.1 Zero-D Cineの仕様
続いて、レンズの仕様についてまとめます。
LAOWA 15mm T2.1 Zero-D Cine レンズ本体 ©
LAOWA 15mm T2.1 Zero-D Cineの詳しいスペックを見ていきたいと思います。
仕様 | 説明 |
寸法 | 84.8 x 91.2mm |
重量 | 540g |
最短撮影距離 | 15cm |
最大撮影倍率 | 2倍 |
絞り | F2.1 〜 F22 |
画角 | 100° |
オートフォーカス(AF) | 非対応 |
手ぶれ補正機能 | 非搭載 (但し手ぶれ補正に対応したカメラ・ボディに装着すると、カメラ側の設定により使用が可能) |
絞り羽根 | 5枚 |
フィルター口径 | 77mm |
対応マウント | SONY FEマウント(フルサイズに対応) |
解像度・歪み・周辺減光(光量落ち)は?
LAOWA 15mm T2.1 Zero-D Cineは、絞り開放のT2.1から非常にキメの細かい描写をしています。また歪み(ディストーション)も、超広角レンズとしては極めて良好に抑えられているので、目視では歪が全く気にならないレベルだと思います。
下記の比較画像では、LAOWA 15mmの絞り開放T2.1
を使って壁を撮影した写真になります。また、その後でLightroom側から、周辺光量落ちや歪補正を加えた画像を比較しています。
周辺光量落ちは、Lightroom等に備わっているLAOWA 15mm F2 FE ZERO-D
のレンズプロファイル適用すると、ある程度は気にならないレベルになるようです。周辺光量が気になる場合は、こういった後処理で対処できそうです。基本的な考え方は、LAOWA 10-18mmの記事で解説した「LAOWA 10-18mm F4.5-5.6 FE Zoomの周辺減光を補正するには?」と同じです。
Lightroomの補正では、歪み補正や周辺減光の補正と同時に、色収差も補正してくれます。
強いて、1つ気になる点を挙げるとすれば、周辺部の色かぶりです。今回撮影した写真のように、単調な壁を撮影し、周辺減光を補正した後では、画面周囲が青いことに気が付きます。テレセントリック性による影響だと思いますが、目立つシーンでは色調の補正も考慮した方が良さそうです。
また下記の比較画像のように、絞りをF11
まで絞っていくと、光量落ちは改善されていきます。Beforeが絞りT2.1、Afterが絞りT11の画像となります。
LAOWA 15mm T2.1 Zero-D Cineの各絞り値による等倍画像を用意していますので、さらに詳しくご覧になられたい方がいらっしゃいまいたら、下記をご覧ください。