Godox製品のストロボV860IIIを入手しましたので、旧型のV860II(2型)との違いについても一緒に解説していきます。
今回の話題として取り上げていくGodox V860IIIは、第三世代(3型)となるモデルです。カメラのホットシューへ接続して、純正スピードライト製品と変わらず発光させたり、別売りのコマンダー「XPro」と組み合わせれば、ワイヤレスでライティングが楽しめる照明機材です。
大容量リチウム専用バッテリに対応したストロボです。Sony α7・α9シリーズ、α6000で使用することができ、ワイヤレス発光やTTLに対応しています。旧機種としてV860II(2型)があります。詳しくは解説レビュー記事をご覧ください。
カメラメーカーの純正ストロボ製品に比べれば価格が安く、さらに大出力の照明機材であるAD200 ProやAD300 Proとの組み合わせたライティングにも相性が良いので、徐々にステップアップしていく時にもおすすめできる製品です!私自身もV860シリーズは長年愛用している照明機材の1つです。
V860III(左)とV860II(右)。カメラにはXProSを装着 ©
V860IIIとバッテリー充電器の様子 ©
今回の3型を使ってみて、大きく違いとして感じるのが、機能性の進化です。使い勝手に関わる細かい部分が正常進化しているので、一度3型を使ってしまうと、2型に戻れない感じすらしました 😅
では、旧型との違いは何があるんでしょうか?これから詳しく見ていきましょう。
目次:Godox V860IIIのレビュー&旧型ストロボとの違いを解説
Godox V860IIIとV860IIの違いと長所
Godox V860IIIで非常に良いなと思ったのが、バッテリー充電器が圧倒的に小型化された事です。今までよりもコンパクトなスペースで充電できます。またカメラへの取り付けも簡単になりました。今回取り上げている新型のV860IIIと、旧モデルのV860IIを比較した進化ポイントを見ていきましょう。
バッテリー充電器が小型化。Type-Cに
スロトボは単3電池ではなく、専用のリチウムバッテリーで使用できます。バッテリーは専用の充電器で充電を行うことになるのですが、付属されるUSB-Cケーブルと付属のACアダプターを含めても、非常にコンパクトで省スペースです。
バッテリー充電器で充電していく様子 ©
V860IIIとバッテリー充電器の様子 ©
旧モデルのGodox V860II(2型)では充電器が大きくスペースを取り、電源ケーブルも非常に太いものとなっていました。
バッテリー取り出しの様子。新型V860III(左)と旧型V860II(右) ©
新型のV860IIIと旧型のバッテリー形状を見比べてみても分かる通り、互換性のない形状となっているので、互いに入れ替えて使用する事はできません。
ホットシューがクリックリリースロック方式へ
カメラのホットシューへ接続する箇所は、従来の形状から変更されて、クリックリリースロック方式と呼ばれるものに進化しています。今までの従来機種では、ダイヤルのようなリングを何回も締付け固定する形状でした。これは巷でよく見られる形状かと思います。
従来機種に対して、Godox V860IIIでは、スイッチを押して45°回すだけで固定できるようになりました。
ホットシュー端子とホットシュースタンド ©
TTLとマニュアル発光が切り替えられるスイッチの搭載
Godox V860IIIの側面には「TTL」と「M」と記載されたスイッチが搭載されました。こちらを切り替えると、TTLモードとMモード(マニュアル)の設定を素早く切り替えることができます。
側面のTTL・M切り替えスイッチと各端子の様子 ©
また、V860IIIでは、新たにTCMと呼ばれる機能が新搭載されました。TCMは、TTL発光後の発光量設定を記録して、設定値をそのままマニュアルモードで利用できる仕組み。
TTL方式(Through the lens)とは?
いわゆるストロボのオート発光モードみたいなものです。
TTLとは、カメラ側で自動的にストロボの適切な明るさを決めてくれる機能のことです。撮影時に、一度発光させてレンズやカメラ側で最適な発光量を計算した後で、その結果を元に発光させます。
自分で設定値を決めるマニュアル発光に比べると、撮影時に若干のタイムラグが生じますが、撮影までの流れは一瞬なので、ぱっと見ただけでは何度も光っている印象を感じない事もあります。TTLは、カメラ任せでストロボの明るさを自動調整してくれる優れた技術です。
特に、カメラを持ち運びながら光の回り方が異なる空間で撮影したい時に役立ちます。
TCMは、TTLで最適なストロボの明るさを自動的に設定した後で、その設定をずっと使いまわしたい時に役立ちそうです。中でも、繰り返し同じ空間で撮影する時に重宝しそうな機能ですね。
モデリングライトの搭載。しかし問題も
Godox V860IIIでは、ストロボ発光前に光の広がりを確認できるランプが搭載されました。
ただ残念なことに、ランプが本機正面に搭載されています。本来はこれはストロボの発光面にあるのが理想だと思うのですがV860IIIでは何故か正面に配置されています。
例えば、発光面の角度を変えた時、その光の広がり方をモデリングランプで把握することは出来ないと思います😅この仕様のせいで、モデリングランプは全く使っていません。
どうやら同メーカーから出ているGodox V1ではストロボの発光面と同じ位置に、モデリングライトが搭載されているようですので、何故V860IIIでは、その位置に配置されているのか謎です。
日本語の説明書に対応
旧モデルのGodox V860IIでは、説明書の記載が英語と中国語しか記載が無かったのですが、新型のGodox V860IIIでは日本語の説明書が同梱されているので、基本的な使い方から確認することができます。
付属される日本語マニュアルの一部 ©
ストロボの発光色の違いはあるの?
両者の発光色に違いはあるのでしょうか??新型のGodox V860IIIと旧型のGodox V860IIで撮り比べてみました。
V860III(左)とV860II(右)。カメラにはXProSを装着 ©
カメラ側では、別売りのリモートコマンダーXProSを装着して、遠隔操作により発光させてみました。
Godoxのストロボ製品をワイヤレスで制御できます。16グループと32チャンネルでコントロールし発光させることができます。
新型のV860III(左)と旧型のV860II(右) ©
実際にストロボ発光させてみた結果を見ると、殆ど同じでした。XProSを使う際の設定方法についても、3型と2型で大きな違いはありません。
続いて、発光時の見た目が同じですが、カラーメーターのSEKONIC C800で計測してみました。
カラーメーターで計測してみた ©
右側が新型のGodox V860IIIの計測結果です。
旧型のV860II(左)と新型のV860III(右) ©
試しに計測してみた結果を見比べていくと、色温度の違いもなく、大きな差は見られませんでした。例えば、今まで使っていたGodox V860IIと組み合わせて、Godox V860IIIを追加したライティングでも、色温度の偏りなく使う事ができそうです。
Godox V860IIIの残念な点
先程の内容でも触れましたが、V860IIIを使ってみて残念だと思った点も見ていきたいと思います。
本体のUSB-C端子からは充電できない
本体にもUSB-C端子がありますが、残念ながら端子から直接充電することはできません。もの凄く紛らわしいですが、ファームウェア更新用の端子みたいです。この端子からも充電できたら最高でした。当然のことながら、充電用のType-Cケーブルを挿しても何も反応はありませんでした 😭
ただ、付属の充電器は、5V2A
の規格となっていますので、巷のモバイルバッテリーで接続して充電ということも可能だと思います。その点はV860IIIで非常に便利になってると思います。
旧型の時にも感動しましたが、今となってはストロボ用に単3電池を大量にストックして置かなくても大丈夫になったのは有り難いですね。
モデリングランプはフラッシュ発光面近くに配置して欲しかった
これはV860III(新型)とV860II(旧型)の違いの中でも触れた内容なのですが、モデリングランプの搭載箇所がイマイチ不便なので、全くと言っていい程に出番がありません。
ワイヤレスコマンダーのXProとの組み合わせが便利
Godox製品のストロボの良いところは、バリエーションが豊富で価格の安いものから、本格的なものまで多数揃っている事です。例えば、AD200 ProやAD300 Proといった製品があります。私自身もAD200 Proを何台か使っています。
この記事でもご紹介したXProというコマンドを活用すれば、ストロボ製品を最大で5つ。または設定により16グループに拡張して、グループごとに発光量を遠隔で設定したり、発光させることができます。
目的や予算に応じて色々な照明機材が選択できるのはGodoxの強みだと思うので、今回ご紹介したV860IIIを始め、色々な照明機材を是非使ってみては如何でしょうか 😄
私の場合は、同じくGodoxから出ているソフトボックスや、Bowensマウント対応のオクタゴン等と組み合わせて使っています。こちらは主に動画撮影用のLEDライトに装着したり、ポートレートで活用しています。
ストロボの活用例。ワイヤレスコマンダーで離れた位置から複数台のストロボを発行できる ©
実際にストロボを使った撮影例は振り返りの記事をご覧ください。