Sony α7III(a7m3)とSony α7RII(a7r2)の機能や性能の違いについて、分かりやすくまとめてみたいと思います。
Sony α7IIIは、2018年3月23日に発表されたソニーの新型フルサイズカメラです。普及モデルであるα7II(a7m2)の後継機種となります。α7IIIとSony α7RII(a7r2)を比較すると、両者とも価格帯が20万円前後と近い販売価格になっています。現在は、新型のα7RIII(a7r3)が発売されています。
目次
α7IIIの主な特徴や性能は?
α7IIIが進化した内容を大まかにまとめるとオートフォーカスの大幅強化・瞳AF-Cの対応(瞳にピントが追従)・連写速度・枚数の強化・バッテリーの強化がされており、カメラの使い勝手や性能が大きく向上しました。その他はSony Japanさんが公開されているYoutubeの動画が分かりやすいのでご覧ください。
(引用元:Sony Japan)
その他については下記が参考になります。
α7IIIに価格帯が近いα7RIIとは?
これに対して、Sony α7RII(a7r2)は2015年8月に発売されたハイエンドモデルのカメラです。α7シリーズの中でも高画素化されており、精細な写真が撮影できるのが特徴です。
コンパクトながら精細な写真を撮影できるカメラ。また、外部のマウントアダプターを介して様々なレンズを手ぶれ補正で楽しむことができるのが特徴。動画撮影では画角を変えることなく4Kが撮影できるのが嬉しいポイント。レビュー記事も書いていますのでご覧ください。
α7IIIとα7RIIの性能・機能を比較
それではα7IIIとα7RII(a7r2)の違いについて見ていきたいと思います。
大まかに見ていくと、α7IIIはα7RII(a7r2)のスペックの殆どを大きく上回っている印象です。α7RII(a7r2)の優位点は画素数だけだと感じました。また、旧型モデルのα7II(a7m2)と比較すると、別の次元へ進化しています。
風景写真やオールドレンズを使用した写真撮影やじっくり1枚1枚の写真を撮影し、画質や精細さを求める方ならばSony α7RII(a7r2)が良さそうです。スピーティーに様々なシーンを撮影するならば、カメラとしての総合力・バランス力が大幅アップしているSony α7IIIが良さそうです。
それでは、各スペックについて詳しく見ていきましょう。
画素数はα7RIIの方が多い
α7IIIは2420万画素のフルサイズ裏面照射型CMOSイメージセンサーを搭載しています。これに対してSony α7RII(a7r2)は約4240万画素のフルサイズ裏面照射型CMOSイメージセンサー(ローパスレス)となっています。
α7IIIはオートフォーカス(AF)が大幅に向上
Sony α7IIIはAF性能が大幅に向上しました。オートフォーカス性能の向上はα7IIIの機能の大きな目玉だと感じました。
まず、旧型機種であるα7II(a7m2)と比べると、次のようにα7IIIの性能が向上しています。
α7II(a7m2)とα7IIIのAF性能比較
- 像面位相差検出AFセンサーが117点 → 693点
- コントラストAFセンサーが25点 → 425点
AFセンサーが多いほど、動きのある被写体を追いかけたりピントを合わせ続けやすくなります。またα7IIIとα7RII(a7r2)を比較すると、次のようにα7IIIが向上しています。
α7RII(a7r2)とα7IIIのAF性能比較
- 像面位相差検出AFセンサーが399点 → 693点
- コントラストAFセンサーが25点 → 425点
また、α7IIIはAF速度・精度・追従性能が向上。またAF速度は低輝度時にα7II(a7m2)比で最大2倍向上しているそうです。α7IIIはα9のAFセンサーを流用したんでしょうかね^^ α7IIIは従来機に比べて以下のように進化しています。
- 画像処理システムの進化
- AFアルゴリズムの進化
- イメージセンサーからの読み出し速度の高速化
- 最新の動体予測アルゴリズムの搭載
性能アップによって、動体を撮影する際にもSony α7RII(a7r2)より快適になっているようです。その他にも以下のような進化ポイントがあるようです。
連写中のAF測距・演算頻度
従来よりも連写中にピントを合わせ続けやすくなっています。
AF-SモードでのAF検出輝度範囲の下限値は-3.0EVに対応
暗い場面でもピントが合わせやすくなっています。
瞳AF機能の検出精度・速度が向上
振り向いた瞬間でも人物の瞳にピントが合い続ける「瞳AF-C」に対応しています。
AF-Cモードに対応
α7IIIの連続撮影速度(連写)は10コマ/秒に向上
α7IIIでは、連写速度も向上しました。Sony α7RII(a7r2)では最高約5コマ/秒でしたが、α7IIIでは10コマ/秒となっています。
連写には書き込み速度の速いSDカードが必要になるようです。私はこちらのSDカードを購入しました。
またα7IIIでは、連写中のAF/AE追従能力も上がっており、無音/無振動のサイレント撮影にも対応しています。
バッファメモリーも大容量化されており、連続撮影可能枚数が向上しています。JPEGスタンダードで約177枚。圧縮RAWで約89枚。非圧縮でRAW約40枚を連写撮影し続ける撮影事ができます。
α7IIIはSDカードのダブルスロットに対応
Sony α7IIIでは、SDカードの差し口が2つに増えました。従来モデルのα7II(a7m2)やSony α7RII(a7r2)はSDカードの差し口が1つでした。また、α7IIIの1つのSDカードスロットはUHS-II対応のSDXCカードに対応しており、前述した連続撮影の役に立ちます。
Sony α7IIIにSDカードと保護フィルムを貼った様子 ©
更に、α7IIIではSDカードのリレー記録に対応しています。リレー記録とは、撮影データを2枚のSDに同時記録したり、1枚目のSDカードが満タンになった際に2枚目に記録を行う機能のことです。
リレー記録ははα9には無い機能で、Sony α7RIII(a7r3)で搭載され始めた機能です。
α7IIIの手ブレ補正能力は5.0段へ向上
α7IIIは手ぶれ補正が5.0段へ向上しました。
α7RII(a7R2)とα7IIIの手ブレ補正比較
これに対してSony α7RII(a7r2)は4.5段となっており、手ぶれ補正能力が僅かに増えました。三脚を使えないシーンなど、手持ちで撮影できるシーンが僅かに増えそうです。
α7IIIは常用感度はISO51200に向上
α7IIIは常用感度はISOが100〜51200(拡張ISOは50〜204800)に対応しています。
これに対してα7II(a7m2)やSony α7RII(a7r2)の常用感度はISOが100-25600(拡張ISOは50〜102400)です。
α7RII(a7R2)とα7IIIの感度比較
- 常用ISO感度が100-25600 → 100〜51200
常用感度は一段向上しており、暗い場面や夜景の撮影などでノイズの少ない写真撮影が楽しめそうです。
α7IIIのバッテリー容量は2倍へ向上
α7IIIではバッテリーライフも大きく向上しています。1回のバッテリー充電で710枚の静止画撮影が可能となりました。
α7RII(a7R2)とα7IIIの静止画撮影枚数比較
- 液晶モニター使用時 340枚 → 710枚 撮影可能
- ファインダー使用時 290枚 → 610枚 撮影可能
α7IIIはα9やSony α7RIII(a7r3)で使用されているNP-FZ100に対応しています。
従来の容量を大きく改善したソニー純正の新型バッテリーです。Sony α9・α7RIIIやα7IIIなどの新しいカメラで使用できます。
旧モデルのバッテリーNP-FW50(左)と新型バッテリーNP-FZ100(右)の比較。大きさが異なる ©
旧モデルのバッテリーNP-FW50(左)と新型バッテリーNP-FZ100(右)の比較。形状も異なる ©
旧型モデルのα7II(a7m2)やSony α7RII(a7r2)では、従来ソニーのミラーレス一眼レフに用いられてきてきたNP-FW50でした。α7IIIは長時間撮影したい場面でも快適に楽しめそうです。
α7IIIは4K HDR動画に対応
α7IIIは4K動画に対応しました。4K動画撮影機能は従来モデルのα7II(a7m2)に無い機能です。
またSony α7RII(a7r2)には無い機能も搭載されています。4K動画は全画素読み出しに対応しており、更に4K HDR動画(HLG)やS-Log3と呼ばれるピクチャープロファイル(pp10)をサポート。明るい部分と暗い部分を、より綺麗に撮影する事ができるようになっています。動画撮影や編集前提の撮影を検討されている方には嬉しい進化ではないでしょうか。
HDR動画については下記の記事が参考になりました。
PRONEWS いまさら聞けない用語集
01 HDR編~動画のHDRはこれから
また、α7III(a7m3)では、フルHD映像で120fpsのハイスピード撮影にも対応しています。
その他の機能
その他にα7IIIでは以下のような機能が搭載されました。
フリッカーレス
蛍光灯によるチラツキを軽減してくれます。
ジョイスティック
フォーカスポイントの操作が快適になります。
背面液晶のタッチパネル操作に対応
α7IIIで不満に感じる点もある
α7IIIのスペックを見ていくと、かなり高機能になっている事が分かります。上記機種であるα9やSony α7RIII(a7r3)に搭載されている機能がα7IIIにも部分的に搭載されているように感じました。
ただし、以下の点は上位機種と差別化されているようです。
サイレントシャッターによる歪について
α7III(a7m3)のサイレントシャッターによる無音撮影では、α9とは異なり、ローリングシャッター現象(ローリング歪み)が目立つようです。
α7IIIでは速い被写体をサイレントシャターで撮影するのは避けた方が良いかもしれません。これはSony α7RIII(a7r3)と近い仕様のようです。α9ではアンチディストーションシャッターに対応しており、高速シャッターでも歪が気になりません。
ブラックアウトフリーに非対応
Sony α9に搭載されたブラックアウトフリーはα7IIIで非対応となっています。
こちらは一般的なカメラのように、シャッターを切ると一瞬暗くなる現象が無い機能の事です。α9ではブラックアウトフリーによってオートフォーカスの追従性も上がっています。詳しい内容はSony JapanさんのYoutube動画が参考になります。
(引用元:Youtube Sony | Camera Channelより)
マウントアダプターによる連写速度の低下
α7IIIではSIGMAのMC-11やSONYのLA-EA3などのマウントアダプターを使って、連写撮影を行う場合は3コマ/秒に低下します。こちらはSony α7RIII(a7r3)と同様です。Sony α9ではAF-Cで約10コマ/秒の連写が可能です。
キャノンレンズをα7シリーズで使うことができるマウントアダプターです。私も実際に使っています。日本メーカーで信頼性も高く、オートフォーカスやレンズ手ぶれ補正も使うことができるのが嬉しいポイント。
背面液晶の画素数が控えめになった
残念ながら、Sony α7IIIの背面液晶は画素数が控えめになっています。旧機種のα7IIやSony α7RII(a7r2)は122万ドットの背面液晶なのですが、α7IIIは92万ドットの背面液晶となっています。
α7IIIの背面液晶 ©
また、上位機種であるSony α9やSony α7RIII(a7r3)は144万の背面液晶です。電子ファインダー(EVF)を覗きながら撮影している際には気づかないケースもあるかもしれません。私が実際にα7IIIを触ってみた感想では、画素数の低下はそれほど気になりませんでした。
バッテリーチャージャーが付属されない
Sony α7IIIにはバッテリーを直接充電できる充電器が同梱されていません。カメラを充電する際にはカメラ本体のUSB端子と付属ケーブルを繋ぐことになります。
Sony α7IIIは付属されているUSBケーブルに繋いで充電を行う ©
バッテリー直接充電したい方には、下記の記事で解説されている専用充電器をおすすめします。