ATOMOS製品の液晶モニタリング機能について解説していきます。ATOMOS製品ではカメラの露出やホワイトバランス、ピントの正確な把握・カスタム3DLUTファイルの適用画面表示が可能になります。波形モニターやフォルスカラー、ゼブラなどの機能がありますが、各機能を順番に見ていきたいと思います。

動画でも詳しい使い方を解説していますのでYoutube動画の14:03以降をご覧ください。

モニタリング機能はATOMOS製品や搭載されるATOMOS OSバージョンによって異なりますが、今回はATOMOS NINJA Vの例を取り上げながら、解説していきたいと思います。

ATOMOS NINJA Vに関するレビューは下記をご覧ください。

目次:ATOMOS製品のモニタリング機能一覧

輝度波形モニター

ATOMOS製品の輝度波形モニター機能は、露出を決める際に便利な機能です。入力される映像のX軸に対して、Y軸で輝度の分布が表示されます。同X軸上に、似通った輝度の映像が含まれる場合は白い点が密集して表示されます。

ATOMOSの輝度波形モニター
ATOMOSの輝度波形モニター ©

波形が上部に振り切れている場合は白飛びをしており、下部に振り切れている場合は黒つぶれを知ることができます。また振り切れているX軸を見て、どの部分が飛んでいるのか、おおよその位置を見つける事ができます。

RGBパレード(RGB波形モニター)

ATOMOS製品のRGBパレード機能では、先ほどの輝度波形モニターと同様に輝度の分布が表示されますが、R(赤)・G(緑)・B(青)の各成分ごとに波形として表示されます。

ATOMOSのRGB波形モニター
ATOMOSのRGB波形モニター ©

輝度波形モニターと同じように白飛びや黒つぶれを見つけるのに役立ちますが、RGB各成分の輝度差を見て、ホワイトバランスの偏りを見つけるのにも利用できます。

例えば、グレーの画像に赤色を着色していくと、次の画像のようにR(赤)の波形が持ち上がっていきます。

赤色に着色した画像をRGB波形モニターでモニタリングした例
赤色に着色した画像をRGB波形モニターでモニタリングした例 ©

これによって、赤色の成分が多く、ホワイトバランスが赤色へ偏っている事が分かります。

ベクトルスコープ

ATOMOS製品のベクトルスコープ機能では、ホワイトバランスの偏りを把握することができます。例えば、グレーカードをカメラに写して使用します。

ATOMOSのベクトルスコープ
ATOMOSのベクトルスコープ ©

ベクトルスコープで表示される6つの軸は、R(赤)・MG(マゼンタ)・B(青)・CY(シアン)・G(緑)・YL(黄)を示しており、こちらは色相環を表しています。中心の軸は無彩色を表しており、中心軸を起点として、どの色へ偏っているのかを知ることができます。

例えば赤色に偏った映像を写すと、次の画像のようにR方向へ分布するようになります。

赤色へ偏った映像を映し出した時のベクトルスコープ。Rへ偏りを示している
赤色へ偏った映像を映し出した時のベクトルスコープ。Rへ偏りを示している ©

この分布をなるべく中央の無彩色へ調整することで、ホワイトバランスを調整することができます。また、ベクトルスコープには中央の拡大機能(ベクトルスコープズーム)を備えていますので、更に細かい調整が可能です。

フォーカスピーキング

ATOMOS製品のフォーカスピーキング機能では、ピントの合っている範囲を赤色で表示する事ができ、感覚的にピントの合焦状態を知ることができます。また色や線の太さはカスタマイズ可能です。

ATOMOSのピーキング機能
ATOMOSのピーキング機能 ©

更に、映像をモノクロ表示させたり、合焦している範囲のみ線として表示させる機能も備えています。

拡大機能(等倍ズーム・2倍ズーム)

ATOMOS製品の拡大機能では、入力映像の等倍拡大(1倍トグル)や2倍の拡大機能(2倍トグル)が使用できます。こちらもピーキング機能と同じようにピントの合焦状態を知ることができます。またピーキングや、他の機能とも併用ができます。

ATOMOSの等倍 拡大機能(1倍トグル)
ATOMOSの等倍 拡大機能(1倍トグル) ©

拡大機能は、右に表示されるボックスからドラッグ操作することによって、拡大したい箇所を素早く選択できます。

ATOMOSの2倍 拡大機能(2倍トグル)
ATOMOSの2倍 拡大機能(2倍トグル) ©

ゼブラパターン(選択した輝度範囲を縞々表示)

ATOMOS製品のゼブラパターン機能では、指定するThreshold(閾値)に近い輝度を縞々模様で表示できます。

ATOMOSのゼブラ表示機能
ATOMOSのゼブラ表示機能 ©

ゼブラの活用方法は様々です。例えば95〜100%をThresholdに設定すると、白飛びしやすい箇所を縞々で把握できます。また、人物を撮影したいシーンでは65〜80%をゼブラ表示させると、綺麗な人肌を撮影しやすいです。

フォルスカラー(フォールスカラー)

ATOMOS製品のフォルスカラー機能では、入力される映像の各箇所の輝度を知ることができます。

ATOMOSのフォルスカラー機能
ATOMOSのフォルスカラー機能 ©

輝度は、赤色や緑、青色などのはっきりした色合いで区別されており、画面左側のスケールで表されています。例えば、各色は次のような輝度を示しています。

  • 赤色: 白飛びしている。もしくは白飛びしそうな箇所
  • 緑色: 50%付近の箇所
  • 紫色: 黒つぶれしている。もしくは黒つぶれしそうな箇所

フォルスカラーも先ほど解説したゼブラと同じような使い方が出来ます。白飛びや黒つぶれ、肌の撮影に応用できます。

ブルーオンリー露出

ATOMOS製品のブルーオンリー露出機能では、入力される映像のB成分(青色成分)をモノクロー表示させます。これによって暗部ノイズを見つけやすくなります。

ATOMOSのブルーオンリー機能
ATOMOSのブルーオンリー機能 ©

シネマガイド(表示枠)

ATOMOS製品のシネマガイド機能では、映画撮影やその他のアスペクト比に応じた表示枠を表示させる事ができます。

ATOMOSのシネマガイド機能。上記画像の例では2:41表示
ATOMOSのシネマガイド機能。上記画像の例では2:41表示 ©

こちらはアイコンをタップするごとに縦横の比率を切り替えることができます。また各規格に準拠したフレームガイドに応じたアクションエリアやタイトルセーフエリアを確認できます。

フリップ(上下反転)

ATOMOS製品のフリップ機能では、画面の表示を上下反転することができます。

ATOMOSのフリップ機能
ATOMOSのフリップ機能 ©

ATOMOS製品を取り付ける方向に応じて、表示を反転させることができ便利な機能です。

3DLUT表示・カスタムLUTの読み込み機能

ATOMOS製品の3DLUT表示機能では、予めSSDに保存しておいた3DLUT(.cube)ファイルをATOMOS本体に読み込み、入力される映像にリアルタイムで反映させることができます。

カラーグレーディングやカラーコレクション後の結果を把握できますので便利です。

ATOMOSの3DLUT適用後映像を表示する機能。右半分が3DLUT適用後の様子
ATOMOSの3DLUT適用後映像を表示する機能。右半分が3DLUT適用後の様子 ©

例えばNINJA Vでは、3DLUTの適用前と後の映像を画面半分で表示して、比較することもできます。

ATOMOSの3DLUTインポート機能。NINJA Vでは8個のLUTを読み込める
ATOMOSの3DLUTインポート機能。NINJA Vでは8個のLUTを読み込める ©

3DLUTは8ファイルまで自由に読み込んで、適用・切り替えが可能です。

記録ファイル名の命名規則を変更する

こちらはモニタリング機能ではありませんが、ファイル管理に便利な機能をご紹介します。ATOMOS製品ではSSDに記録するファイル名の連番や名前の付け方を変更することができます。

保存ファイル名の形式を変更する画面
保存ファイル名の形式を変更する画面 ©

こちらの機能は複数台のカメラを運用する時に便利です。例えば、1台目のカメラにはNINJA1...と設定し、2台目のカメラにはNINJA2...と設定しておくことで、後からファイルを整理する際にも1台目のカメラと2台目のカメラの記録ファイルを区別することが容易になります。