TAMRON製レンズを、スマートフォンから設定変更したり、ピントの送り出しが出来る「TAMRON Lens Utility Mobile」を使ってみましたので、使用感想と機能の使い方についてブログでまとめていきます。
TAMRON Lens Utility Mobileでは、USB-Cケーブルを介してレンズとスマホを接続することにより、フォーカスリングの回転方向を変更したり、指定したピント位置を記録して、ピントの移動が可能となってます。
詳しい使い方や、活用例はYoutubeでもご紹介していますのでご覧ください!
対応レンズの状況は、タムロンさんの公式ページで掲載されていますので、こちらも併せてご覧ください。
TAMRON(タムロン) 公式ページ
Android™ OS対応。写真・動画撮影の可能性を広げるレンズカスタマイズソフトウェア TAMRON Lens Utility Mobile™ - TAMRON
TAMRON Lens Utility Mobileの画面。スマホからレンズの動作を操作できるようになった。 ©
これまでは、PC版のTAMRON Lens Utility(解説記事へ)を使って、各種設定が行えましたが、モバイル版では移動先でもスマホを使って設定変更や遠隔操作ができるようになりました!現在のところ、スマートフォン対応状況はAndroid OSのみとなっています。
実際に使ってみたところ、好きなピント位置を2つ記録しておき、2点間をゆっくり移動させる「A-Bフォーカス」と任意のピント位置まで移動できる「フォーカスプリセット」が遠隔操作できるので便利でした!
場所を問わず、その場でレンズの設定を変更したり、ピントの送り出しができるのは今後の動画撮影や写真撮影で役に立ちそうです。また、カメラのAFセンサーに依存しないピントの移動ができますので、
- ピントを合わせづらい暗いシーンの撮影
- マクロ撮影
- カメラアングルを大胆に移動させるシーン
などの、ピントがどこへ向かうのか不安になるシーンで大変重宝する機能だと思います。私の場合は、前述のYoutubeでご紹介してる通り、電動スライダーや三脚を使って動画撮影したい時に便利な機能だと感じました!
今回はタムロンさんより、Androidのスマートフォンと専用ケーブルをお借りしましたので、普段から使っているTAMRON 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2を使って何が出来るのかを試して見ました!
目次:TAMRON Lens Utility Mobileの使い方と設定方法
モバイル版で出来ること
TAMRON Lens Utility Mobileでは、レンズのフォーカスリングやフォーカスセットボタンを押した時の動作内容を変更したり、指定した位置へピントを送り出しできます。
今回はTAMRON 28-75mm F2.8 G2のフォーカスセットボタンやフォーカスリング動作を設定してみた ©
基本的にはPC版と出来ることが似ていますので、詳しくは下記の解説記事をご覧ください。
PC版については、Youtube動画でも詳しく解説しています。
かなり便利な機能ですが、PC版のデメリットとして、外出先で設定変更するのが難しい場面もあるかと思います 😅
これに対して、モバイル版では、外出先での設定変更ができるようになった事が大きなメリットになります。そして、レンズやカメラに直接触れることなく遠隔操作ができるのも動画撮影中には役立ちます。
他にもモバイル版では、移動先で利用すると便利な機能が追加されています。それでは続いてPC版とモバイル版の違いを見ていきましょう!
PC版とモバイル版の違い
TAMRON Lens UtilityはPC版とモバイル版で、出来ることに少しだけ違いがあります。
モバイル版で出来ること
リモートセットボタン機能
スマホ画面内に用意されたボタン操作により、ピントの移動を開始したり、ピント位置を記録させることができます。
画面内のボタン(リモートセットボタン)からピントの移動開始や、位置の記録ができる。 ©
リモートセットボタンで呼び出せる機能は、A-Bフォーカスとフォーカスプリセットの2種類です。
フォーカス移動の時間を0.1秒単位で細かく設定可能
PC版では移動時間を8段階で設定できましたが、モバイル版では細かく設定できます。
0.1秒単位で細かく指定できる ©
移動先の現場でも細かく動作を調整できるように、ピントの移動時間を0.1秒
単位で設定できます。最大値は99.9秒
まで設定できるようです。これだけ設定幅があれば、撮影中に困ることは無さそうですね!
逆にPC版では、レンズのファームウェア更新ができますが、モバイル版では出来ないと言った違いがあります。
タムロンのレンズとスマホをケーブル接続する
それでは実際にレンズとスマートフォンを接続して、TAMRON Lens Utility Mobileを利用してみたいと思います。スマートフォンはGalaxy M23 5G(Android)を利用して各種操作を行っていきます。
カメラ・レンズと専用ケーブルを用意する ©
接続には、専用のUSB Type-Cケーブル「TAMRON Connection Cable(Model CC-350)」(長さ1.5m
)を利用しました。ケーブルが長いので、三脚に搭載したカメラのように、高さがある位置でもスマートフォンを自由な場所へ配置して操作ができそうです。
ケーブルは両端にフェライトコアが配置されていたり、片側のUSB端子がL字型になっていて、レンズ接続時に邪魔になりにくく工夫されているようです。
スマホからアプリ「TAMRON Lens Utility Mobile」を早速呼び出してみました!
アプリをタップして、「TAMRON Lens Utility Mobile」を起動 ©
「TAMRON Lens Utility Mobile」起動時のアナウンス ©
初めて使う際には、レンズのファームウェアバージョンが最新ではないと、TAMRON Lens Utility Mobileが使えない事もあります。利用する前に、PC版でファームウェア更新を行っておきましょう!
TAMRON Lens Utility Mobileはボタンで操作する
TAMRON Lens Utility Mobileはスマートフォン画面の下部を中心に、仮想的なボタンが配置されています。実際の操作では、そちらのボタンをタップすることで各種設定ができるデザインとなっています。
ボタンをタップしていくと各種設定が行える ©
ボタンが大きく配置されているので、感覚的に設定できるのは有り難いですね!
スマホアプリの大まかな機能
TAMRON Lens Utility Mobileの機能を大まかに見ていくと、次のような構成になっています。
それでは各機能を見ていきましょう。
ボタンの動作をカスタマイズする
まずはボタン機能をカスタムできる設定項目を見ていきます。
カメラ側のボタン設定を利用(Camera function)
カメラから設定しているフォーカスセットボタンの機能をそのまま利用します。
Camera function ©
Camera function → Detail ©
AFとMF切り替え(Select AF/MF)
フォーカスセットボタンを押した時にオートフォーカスの有効と無効を切り替える機能を使用します。切り替え動作は1回の短押しか、1秒の長押しにより発動させるかを選択できます。
Select AF/MF ©
Select AF/MF → Select Operation ©
フォーカスプリセット(Focus Preset)
フォーカスセットボタンを押した時に指定したピントへ移動させることができます。ピントの位置はボタン長押しで設定できます。
詳しい動作内容は上記の解説動画をご覧ください。
Focus Preset ©
前半でもご紹介した通り、移動時間はその都度、アプリから細かくカスタムできます。
Focus Preset → Fix Travel Time ©
最大で99.9秒まで設定変更できる ©
アプリからも同じ操作ができる
アプリ画面の下部タブの「リモート」を押して画面を切り替えると、リモートセットボタン画面の仮想ボタンからも同様の操作ができます。詳しくは、この後説明するA-Bフォーカスの設定例をご覧ください。
A-Bフォーカス(A-B Focus)
予め、指定したピント位置をボタン長押しで、2つ設定しておきます(A点とB点を決めたことになります)。そして、再びボタンを1回短押しすると、2点間をフォーカスが移動します。
A-Bフォーカスは一度ピント位置を設定すると、1回短押しするたびにA点、B点を繰り返し移動できます。
A-B Focus ©
A-B Focus → Fix Travel Time ©
アプリからも同じ操作ができる
アプリ画面の下部タブの「リモート」を押して画面を切り替えると、リモートセットボタン画面の仮想ボタンからも同様の操作ができます。
リモートセットボタンからも同じボタン設定や操作が可能 ©
フォーカス移動の時間も画面上から変更できる ©
フォーカスリングから絞り値を操作する(Ring Function)
フォーカスリングを回すとレンズのF値が変更されます。操作の開始タイミングは1回の短押しか、1秒の長押しから、フォーカスまたは絞りの操作を切り換えることができます。
Ring Function ©
Ring Function → Select Operation ©
ボタンを押しても何もしない(Clear Settings)
フォーカスセットボタンを押した時に何も発動させたくない時はこちらを選択します。誤作動を防ぐ用途で使えます。
Clear Settings ©
フォーカスリングの機能をカスタマイスする
続いて、レンズのフォーカスリング機能を変更できる項目を見ていきます。画面中央あたりの「Ring」タブを選択します。
Ringタブを押した時の画面 ©
フォーカスリングの回転方向を変更(Rotation)
フォーカスリングを回した時の動作方向を変更できます。
タムロンのレンズは、ユーザーの好みに応じて逆回転させることができて、便利ですね!
Rotation → MF Ring Rotation ©
フォーカスリングの反応速度を変更(Method)
マニュアルフォーカス時に、ピントリングの回転速度に対して非線形な反応をする動作(ノンリニア)または、均等にフォーカスの送り出しが可能になる動作(リニア)を選択できます。PC版のTAMRON Lens Utilityでは、MFレスポンスと呼ばれている機能です。
Method ©
Method → MF Method ©
リモートセットボタン機能
リモートセットボタンとは、レンズ本体に備わっているフォーカスセットボタンを、画面上に仮想ボタンとして用意し、本体のボタンと同じ操作ができる機能です。
リモートセットボタンは最大3つのボタンを用意しており、3つのボタンそれぞれにフォーカスプリセットか、A-Bフォーカスの機能を割り当てることができます。
リモートセットボタン機能の画面 ©
例えば、上の画像では2番目が何も割り当てられていない空白状態となっていますが、その後で好きな機能を追加することもできます。
2番目にA-Bフォーカスの機能を割り当ててみた ©
撮影中によく使う機能を割り当てておくと便利かもしれませんね!
また、記事の中盤「フォーカスプリセット」と「A-Bフォーカス」でも見ていきましたが、フォーカスの移動時間もすぐ変更できます。
フォーカスの移動時間を変更できる ©
リモートセットボタンの数は1つに変更することもできます。
リモートセットボタンの数を変更する ©
リモートセットボタンの数を1つにしてみた ©
また、画面中央の左端にあるAF・MFボタンでオートフォーカス有効と無効の切り替えもできます。
リモートセットボタンの数を1つにしてみた ©
いかがでしょうか。場所を問わず、その場でレンズ設定を変更したり、ピントの移動ができるので非常に便利な機能かと思います。是非タムロンの対応レンズでお試ししてみてください。
また、冒頭のYoutube動画の作例でもご紹介した通り、TAMRON Lens Utility Mobileは、電動スライダーと組み合わせて活用していくと、面白い効果を発揮してくれる機能です。
電動スライダーというと、edelkroneが有名ですが、私の場合は
- ZEAPON Micro2 E600
- YC Onion Hot Dog 3.0
- Gudsen MOZA Slypod Pro
というメーカーの製品を使っています。これらの製品はフォローフォーカス(フォーカサー)の備わっていない比較的お手頃なスライダー製品なのですが、TAMRON Lens Utility Mobileを活用すれば、スライダーショットにピントの移動効果を取り入れる事が出来るので大変メリットを感じました。
ただし、電動スライダーとTAMRON Lens Utility Mobileは連携動作する訳ではないので、それぞれ別々に移動開始などの操作をする必要があります。詳しい様子は、Youtubeの動画をご覧ください。
記事執筆時現在は、Android OSのみの対応となっていますが、将来的にはiPhoneやiPadなどでも操作できると嬉しいなと思いました。…もっと欲張ってしまうと、レンズのUSB-C端子から、Wi-Fiモジュールなどを挿して無線でコントロールできるようになると素晴らしくなるのでは!と夢膨らむ想像をしてみました(笑)
また、今後登場するのかは全く不明なのですが、SONY Eマウント対応のTAMRON 90mm MACROのような製品が登場してくれれば、商品撮影などでピント合わせが難しいシーンでも「A-Bフォーカス」が大幅に役立つ機能となること間違い無しです!!
今後もTAMRON製レンズでTAMRON Lens Utility Mobile対応のレンズが増えていくと思いますので、注目していきたいと思います ☺️