今回は様々なフィルター効果が利用できるFreewell VNDフィルターキットというものをご紹介していきます。こちらは4枚のレンズフィルターがセットになっている製品です。後半でも詳しく見ていきますが、各フィルターが磁石によって、付け外しが簡単になっています。

詳しい使用感についてはYoutubeでも解説していますので、併せてご覧ください。

動画でも撮影例や特徴を挙げている通り、撮影に必要なフィルター効果が上手くまとまっている製品です。当記事ではフィルターを使って何ができるのかや、注意点なども見ていきたいと思います!

Freewell VNDフィルターキットのレビュー

Freewell VNDフィルターキットの使用作例(動画)

動画でもご覧頂いている通り、撮影に必要だと思うフィルターは、大体このフィルターセットで対応できそうな感じになっています。使用作例の方は、過去の動画でも公開しているのですが、今回は少しだけ抜粋したものをご覧ください。

Freewell VNDフィルターの使用例(ポートレート1)
Freewell VNDフィルターの使用例(ポートレート1) ©
Freewell VNDフィルターの使用例(ポートレート2)
Freewell VNDフィルターの使用例(ポートレート2) ©

いかがでしょうか。特に動画撮影でこちらのフィルターを利用していますが、ポートレート撮影でふわっと広がるような雰囲気が出せるミストフィルターの効果が気に入っていて、実際に2ヶ月ほど使っていきました。別の動画で使用作例をリンクとしてご紹介していますので、そちらも併せて是非ご覧になってみてください。

Freewell VNDフィルターキットとは?何ができる?

商品説明の方では「最大7通りの組み合わせ、場面に合わせた20種類の機能が使用可能」と言われていますが、4枚のフィルターで色々な効果が使えるので、思った以上にコンパクトです。

フィルターの機能は後半で詳しく見ていきますが、まずはざっくり何ができるのかを纏めると、次の4つの機能が備わっています。

  1. 可変NDフィルター

    「VND 2-5 STOP」と「VND 6-9 STOP」という2種類の可変NDフィルターが付属されています。

  2. Glowミストフィルター

    「VND BASE(通常ベース)」と「MISTXVND BASE(ミストベース)」という2種類のベースフィルターが用意されています。

  3. CPL(円偏光フィルター)

    前項1の可変NDフィルターの裏面を利用すると、「CPL」と「ND32/CPL」として利用できます。

  4. レンズの保護

    傷や衝撃からの保護が可能な蓋が用意されています。

この他に、持ち運びに便利なケースが付属されています。それでは各機能を詳しく見ていきましょう。

可変NDフィルターとは?

NDフィルターとは、レンズを通過する光量を意図的に落として、通常のシャッタースピードよりも遅い速度で撮影ができるフィルターです。

更に、可変NDフィルターではフィルターを回すことで減光効果を調整できますので、撮影するシーンに応じて、スローシャッターや動画撮影上のシャッタースピードの固定に役立ちます。Freewell VNDフィルターキットでは、2段から5段、6段から9段まで減光できる可変NDフィルター合計2枚が用意されています。

付属する可変NDフィルターについて
付属する可変NDフィルターについて ©

Glowミストフィルターとは?

いわゆる霞効果が得られるフィルターです。画面上の明るい箇所がふわっと広がる写りとなる傾向があり、強いライトや太陽光を背景に撮影すると、ふわっとした演出ができます。動画&写真で優しい表現を取り入れたい時に便利です。

Glowミストフィルターでは、画面上の明るい箇所がふわっと広がる写りとなる
Glowミストフィルターでは、画面上の明るい箇所がふわっと広がる写りとなる ©

Freewell VNDフィルターキットでは、ミスト効果が得られるベースと、通常のベースが用意されており、磁石で簡単に取り外しが可能となっています。従って、ベースフィルターを交換することで素早く有効&無効に切り替えられますので、非常に便利です。

付属されるミストベース。レンズには通常ベースが装着されているが、磁石で簡単につけ外しが可能となっている
付属されるミストベース。レンズには通常ベースが装着されているが、磁石で簡単につけ外しが可能となっている ©

CPL(円偏光フィルター)とは?

CPLフィルターを使うと、空を青くしたり、ガラスや水面の反射を抑えられます。こちらもやはり、フィルターを回していくと効果を調節できるようになっています。

付属されるNDフィルターをひっくり返すとCPLになる
付属されるNDフィルターをひっくり返すとCPLになる ©
CPLの効果を最小にした時
CPLの効果を最小にした時 ©

効果を最大にしていくと、空がより濃い青色となります。

CPLの効果を最大にした時
CPLの効果を最大にした時 ©

ただし、FreewellのCPLフィルターを使う上で注意したい内容がありますので、詳しくは後半で解説していきます。

レンズの保護

衝撃や傷やホコリから守ることができます。撮影をしない時に役立ちます。こちらもやはりマグネットによって着脱が可能となっています。

レンズプロテクターの裏面は金属製となっている
レンズプロテクターの裏面は金属製となっている ©

可変NDフィルターがCPLとしても使える

こちらのフィルターセットの特に良いなと思ったところは、1枚のフィルターが複数の機能を持っているところにあります。例えば、2段から5段の減光が可能である可変NDフィルターは、裏返してカメラレンズに装着していくとCPLとして機能します。

可変NDフィルターは裏返して装着するとCPLとして利用できる
可変NDフィルターは裏返して装着するとCPLとして利用できる ©

そして、6段から9段分の減光が可能なNDフィルターは、裏返して装着するとCPLの効果に加えてND32(つまり5段分になる)減光効果が利用できようになっています。面白いですよね。

ベースフィルターは2種類用されており、ミスト効果のある物と通常タイプが用意されている
ベースフィルターは2種類用されており、ミスト効果のある物と通常タイプが用意されている ©

更に、ミスト効果を出したい時には、ベースフィルターを交換することになり、ベースは通常タイプと、ミストタイプのものが用意されています。以上のように、少ない手数で色々な機能を素早く利用できるのが大きなメリットです。

ミストフィルター・可変ND・CPLがコンパクトに携帯できる

これまでの特徴を見てもわかるように、様々な効果が利用できるんですが、結果的に荷物が少なくて済むので、手軽な撮影が楽しめるようになっています。

付属される収納ケースでフィルターを持ち運びできる
付属される収納ケースでフィルターを持ち運びできる ©
様々な効果が、僅かなフィルターで実現できる
様々な効果が、僅かなフィルターで実現できる ©

通常ならば、何枚もレンズを重ねていくと、今度はケラレてしまったり、レンズ前面が重たくなるといった問題が出てきますが、Freewellのフィルターキットを使うと、最大でも2枚のフィルターだけで済むことになります。従って、複数のフィルターを重ねることで起こる問題を軽減することが期待できます。

付属のケースで携帯して持ち運べるのも嬉しい
付属のケースで携帯して持ち運べるのも嬉しい ©

特に動画撮影をされている方にとっては、レンズフィルター周りがコンパクトになるのでオススメです。ちなみに付属されるケースは背部にカラビナが付いているので、携帯性も良い感じになっています。興味がありましたら、記事前半にリンクを置いていますので、口コミなどチェックしてみてください。

NDフィルターやCPLの効果と色ムラや濃度ムラ

Freewell VNDフォルターキットの概要や長所を見ていきましたが、今度は各フィルターの効果について、実際のカメラファインダー像をご覧頂きながら、どんなものかという所を見て行きたいと思います。

上記の動画では、超広角レンズや中望遠レンズに対して、可変NDフィルターを使ったときや、CPL、Glowミストフィルターを使用した時の結果と、デメリットについてご紹介しています。

各フィルターの効果を見ていく
各フィルターの効果を見ていく ©

また、各フィルターには使っていく上で避けて通れないデメリットや注意事項もありますので、導入前の参考にして頂きたいなと思います。

可変NDフィルターで起こる濃度ムラ

他の可変NDフィルターを使用しても、よく見られるのが濃度ムラです。望遠側のレンズ画角や、小さい減光値を使っている際には気になりませんが、減光値を大きくしていくと、周辺が暗くなってしまい画面全体の均一性が失われてしまうという問題があります。

可変NDフィルターで発生する濃度ムラ(2-5 STOP使用時)
可変NDフィルターで発生する濃度ムラ(2-5 STOP使用時) ©
可変NDフィルターで発生する濃度ムラ(6-9 STOP使用時)
可変NDフィルターで発生する濃度ムラ(6-9 STOP使用時) ©

濃度ムラは、可変フィルターの原理上避けられない現象なので、画面の均一性を重視したい時には固定値のNDフィルターを何種類か切り替えることになります。

Freewell VNDフォルターキットでも同様の問題が起こりますので、広角レンズを使う際には注意が必要です。動画の後半でもご紹介していきますが、中望遠レンズでは気にならないケースもあります。

CPL(円偏光フィルター)による色ムラ

CPLの効果についての説明でも画像を掲載しましたが、Freewell VNDフォルターキットではCPLの効果が薄い時に、画面全体で黄色くなってしまう現象が起こります。

CPLの効果を最小にした時
CPLの効果を最小にした時 ©

こちらも画面全体で均一ではないため、映像素材や写真撮影時には気になりますね。ただし、CPLの効果が高い時には、黄変が解消されて青く変化していきます。

CPLの効果を最大にした時
CPLの効果を最大にした時 ©

実際にCPLを使った撮影をしたい時には、上記の写真のように、効果最大の状態を利用することが多いと思いますので、実用上は問題にならないかと思います 😅

これ以外にも、一部気になる内容がありますが、詳しくはYoutube動画をご覧ください。動画で挙げている問題を避けながら撮影していくことが出来れば、軽快な撮影が行えるので、そこそこ便利なフィルターだと感じました!

可変NDフィルターは過去にご紹介したND 2-400も便利で、今後はこの2枚を併用していく予定です。

カメラ用語の段数やSTOPって何?

NDフィルターでは、「段数」や「STOP」という言葉がよく登場します。実は、段数とSTOPは同じ意味で、シャッタースピードやISO、露出、絞り値、EVと大きく関係します。例えば、基準となる露出設定を0段とすると、0段を基準に、1段暗くすることは、1STOP分暗くする事と同じ意味になります。

段数 STOP値
-2段 -2 STOP
-1段 -1 STOP
0段 0 STOP
1段 1 STOP
2段 2 STOP

1段分暗くなると、同じ露出を維持するためには、シャッタースピードを1/2にする必要があり、2段分暗くなれば、1/2の2乗のシャッタースピードまで落とす必要があります。日本で販売されているNDフィルターは、ND2やND4、ND8、ND16などの値で表示させていますが、こちらは約2の乗数分の表記となっています。例えば、ND32は5段と同じ意味ですが…

  • 2の5乗

    = 2x2x2x2x2 = 32

つまり、段数とSTOP、NDの値を並べていくと次のようになります。NDの値は2の乗数分増えていきます。

段数 STOP値 NDフィルターの表記値
1段 1 STOP ND 2
2段 2 STOP ND 4
3段 3 STOP ND 8
4段 4 STOP ND 16
5段 5 STOP ND 32
6段 6 STOP ND 64
7段 7 STOP ND 128
8段 8 STOP ND 256
9段 9 STOP ND 512
10段 10 STOP ND 1024

つまり、ND1000は、およそ10段分(=10 STOP)の減光効果があります。今回ご紹介しているFreewell VNDフィルターキットは、最大で9 STOPの減光が可能なのですが、これはおよそND 512ND 500フィルターに近い減光効果です。