iPhoneやiPadをカメラ用外部モニターとして使うことができる「Accsoon SeeMo」を購入してみましたので、使用感想をまとめていきます。Accsoon SeeMoは、本体側面のHDMI端子にカメラの映像を入力し、iPhoneやiPadへUSBケーブルを接続することで、入力される映像が画面表示される製品です。
驚くことに、Accsoon SeeMoは外部レコーダー機能付きのモニターとしても利用可能です!今まで高価なモニターにしか備わっていなかった映像キャプチャー機能が、ぐっと身近な存在になりました!
iPhone&iPadをカメラモニターに変える事ができます。スマホアプリの「Accsoon SEE」でカメラやその他のHDMI映像入力を画面表示させて、様々なモニタリングが可能です。また映像を端末内にキャプチャーしたりYoutubeやFacebookへライブストリーミング配信も可能などユニークな機能も備えます。詳しくはレビュー解説記事をご覧ください。Android対応版となるAccsoon M1もあります。
詳しい使い方や表示の様子はYoutubeでも解説していますので、ご覧ください。
また、現在はワイヤレスでスマートフォンから映像を確認できるAccsoon Cine View Nanoという製品も登場しています。見た目は似ていますが、こちらは無線に対応したモデルです。
【5GHzビデオトランスミッター】:Accsoon CineView NanoはiOSまたはAndroidデバイスにカメラ映像を送信し、複数のモバイル端末で映像のモニタリングが可能になるシステムです。
付属品はiPhoneやiPadを繋ぐためのUSB Type-C→Lightningケーブルと、両端子がUSB Type-Cケーブルとなっている合計2本のケーブルが同梱されています。
カメラの映像をiPhone Xs Maxで表示させてみた ©
1つ注意点ですが、動作させるためのバッテリー(NP-Fシリーズに対応。別記事にて解説)やHDMIケーブルは同梱されていないので、カメラに合う物を揃えてください。
実際に使ってみると、巷にあるカメラ用の外部モニター製品と見分けがつかないほど良く出来ており、ついにスマホがカメラモニターになる時代が来たかー!と感動しました 😄 今までは、別の記事で解説しているカメラモニター製品の一覧のように、ワイヤレスでスマホへ画面表示できるものを使うと、iPhoneやiPadでもモニターとして使える製品が存在しており、私自身もワイヤレス製品を愛用していました。
今回登場したAccsoon SeeMoではターゲットデバイスをiPhoneとiPadに絞り込んでいる事もあって、動作の機敏さや快適さが、純粋なカメラモニター製品に見劣りしないレベルにまで仕上がっています。
当記事ではAccsoon SeeMoの魅力を順番にご紹介していきますので、ぜひご覧ください!
目次:Accsoon SeeMoのレビュー
Accsoon SeeMoのメリット
Accsoon SeeMoは、普段使っているApple製スマートフォンやタブレットをカメラ用の液晶モニターとして使うことができます。使っていないiPhoneやiPadがあれば、同様にモニター化できてしまうので便利です。
カメラモニター製品と差を感じさせない印象。カメラの映像をiPhone Xs Maxに画面表示させてみた ©
HDMI端子からUSB端子への変換機器だと思って頂くとイメージしやすいと思います!この他にメリットを挙げていくと、次の通りの機能があります。
- 荷物を軽く済ませられる
- 起動が速く、遅延が少ない
- もちろんタッチパネル操作対応。高価なカメラモニター製品と同様の機能が備わっている
入力された映像をキャプチャーできる
→ 解像度は最大で1080P。音声収録にも対応しており、スマホ内のストレージに映像を記録できる外部レコーダーとして利用可能
入力された映像を利用してYoutubeやFacebookなどのライブ配信ができる
カメラ用の外部モニター製品には幾つかの機能と、価格により搭載機能の有無の違いがありますが、Accsoon SeeMoに関しては、3万円くらいするタッチパネル式カメラモニターと同等の機能が備わっている印象がしました。更に1080P
という解像度ではありますが、ビデオキャプチャー機能付きです。映像をiPhoneやiPadのアルバム(カメラロール)へダイレクトに保存できる点は大きな長所ではないでしょうか!
逆にデメリットを挙げるとすれば、Accsoon SeeMoの使用中はスマホやタブレットに充電できないため、スマホの内部バッテリー残量に依存してしまうことや、液晶パネルの明るさがカメラ用モニター製品より暗い場合もある点には注意です。
iPhone Xs MaxとSONY α7IV(屋外晴天モード)を並べると同程度の明るさでした ©
iPhoneの液晶パネルの輝度は、機種にもよりますが625 nit
から1200 nit
と言われていますので、少し安いカメラモニターと同程度の明るさということになります。例えば、2500 nit
から3000 nit
の明るさを持っている高輝度モニター製品も存在しますので、夏場の日差しが強いシーンでカメラモニターを使いたい時は、専用モニターの方が視認性は高くてオススメです。
とは言っても、日頃使ってるスマートフォンやタブレットをそのままカメラモニターとして使うことができる手軽さがAccsoon SeeMoの一番良いところでしょう。
付属アクセサリーとカメラネジ穴が素晴らしい
Accsoon SeeMoの内容物や付属品については動画でも解説していますのでご覧ください!
更に、Accsoon SeeMoを使ってみて、凄く良かったのが同梱されるコールドシューアクセサリーや、ネジ穴の形状です。
Accsoon SeeMoの付属アクセサリー ©
アクセサリーのネジ周り。ARRIピンとARRI穴に対応しています ©
カメラモニターにコールドシューマウントのアクセサリー製品が付属してくる事はよくある事なのですが、上記の写真を見ても分かるように、ネジ穴とネジ山側にARRIピンが用意されていて、回転によるズレ落ちの心配がありません。
ホットシューへの締付けには、大柄なレバーが用意されており固定しやすい ©
また、カメラとホットシュー端子との固定についても工夫がなされており、締め付け用のレバーが大きく作られています。一般的な形状は円筒上のネジですよね!実際にカメラへ装着してみると、とにかく大柄なレバーがとても使いやすい…!触ってみると固定と脱着がスムーズに行えるので非常に気に入りました。(ほんとに素晴らしい作りなので、単体で売って欲しいくらいですw)
iPhoneをカメラ正面に向けて配置することもできます ©
アクセサリーによって、チルト方向(垂直回転)なら向きを変えることができますし、上記の写真のようにカメラ正面へモニターを向けることも可能です。残念ながらAccsoon SeeMoのモニターをパン方向(水平)に180°回転させるような機構は備わっていませんので、回転させたい時には別のアクセサリーが必要となりそうです。
SeeMo本体にもARRI穴を備えた1/4インチカメラネジが搭載されていますので、ジンバルや他の映像機器でもガッチリ固定が可能です。特にiPad Miniなどの大画面で重たい液晶モニターを支えたい時には、ARRIピン対応のネジ規格が大きなメリットを生み出すこと間違い無しです!
Accsoon SeeMoの端子とバッテリー
それでは続いて、SeeMoの外観を見ていきましょう。以下の写真の白い箇所がSeeMoです。見た目はスマホホルダーのような形状をしており、軽量に作られています。
Accsoon SeeMoの外観 ©
背面には別売りとなるNP-Fバッテリーの装着口が用意されています。Accsoon SeeMoの付属品にはバッテリーが付属されていないので、持っていない場合には予めバッテリーを購入する必要があります。
また前半でも説明した通り、HDMIケーブルも別途必要となります。
続いて、Accsoon SeeMoの上面にはコールドシューマウントが用意されています。LEDライトやマイクを搭載するのに便利ですね!また、後述しますが、SeeMoからUSB給電(5V
)させることも可能です。
上部はコールドシュー端子 ©
SeeMo装着するバッテリーはNP-F570、NP-F750、NP-F970などのバッテリーが対応していますが、小型で軽量なNP-F570でも非常に長い時間バッテリーが持続します。2時間ほど使ってみましたが、バッテリー残量があまり減らない印象でした。iPhoneやiPadのバッテリーにも注意が必要ですが、SeeMo本体のバッテリー持続時間はかなり長いんじゃないかと思います。
さて、話は戻りまして、SeeMo本体の左側面を見ていくと、HDMI Type-A入力端子と、USB-Cの5V電源出力端子が備わっています。電源駆動が必要となる機器や内部バッテリーを備える機材を搭載したい時に役立ちます。
左側面はHDMI Type-A入力端子と、USB-Cの5V電源出力端子 ©
HDMI入力端子にはカメラ以外にもゲームなどの映像も入力できるかと思います。
そして反対側となる右側面には、USB Type-Cのビデオ出力端子と電源ボタンがあります。USB Type-C端子には付属されるLightning端子ケーブルか、USB-Cケーブルが接続できます。
右側面はUSB Type-Cのビデオ出力端子と電源ボタン ©
iPhoneまたはiPadに繋ぐ接続用ケーブルは付属されている ©
Accsoon SeeMoの使い方と機能の解説
今度はカメラモニターとして重要となるモニタリング機能について見ていきます。モニタリング機能は、現在のところ、どの機種を選んでも殆ど似たような機能が備わっていることが多いです。各機能の一般的な基礎知識と使い方については別の記事で詳しく解説していますので、初めての方はそちらも併せて御覧ください。
Accsoon SeeMoに関しても、過去に外部モニター製品を使ったことのある方であれば、すぐに扱うことができる内容となっています。
カメラモニターでは撮影に必要な情報が確認できる「モニタリング機能」が豊富に用意されている ©
Accsoon SeeMoのモニタリング機能については、Youtubeでも解説していますので以下もご覧ください。
モニタリング機能はiPhoneやiPadの対応アプリ「Accsoon SEE」で利用できます。Accsoon SEEで表示される下部のアイコンをタップして、各モニタリング機能を呼び出せます。
また、詳細設定は下部アイコンの右端にある歯車のアイコンをタップすることで、細かい設定変更ができるようになっています。それでは具体的に見ていきましょう。
選択した箇所の拡大(ピンチイン・アウト)
スマホやタブレットならではの機能です。ピンチインすることで、特定のエリアを拡大することができます。
通常の拡大率 ©
拡大した様子 ©
ただし解像度が1080P
しかありませんので、細部まで拡大は難しいですが、小さなスマホでは役立つ機能でしょう。その辺りについても一般的なカメラモニターと同じです。
波形モニター(輝度&RGBパーレド)
入力された映像の左端から右端までの横軸別に輝度が分かる情報です。波形情報はデフォルトで右上に表示されますが、左上や左下、中央などのように表示位置を変更できます。
Accsoon SEEの波形モニター ©
波形モニターでは、明るすぎる箇所があれば、波形が上端へ振り切れる様子となり、暗いものが映り込むと波形が下端に向かって下がります。
露出オーバーになると、波形が上端へ張り付いてしまう ©
一部暗いものが映り込むと、対応する横軸に対して、波形が下端へ下がる ©
Accsoon SeeMoの波形モニターは一般的なモニター製品と同じく、RGBパレード表示に切替可能です。
少し気になるのが波形表示の透明度を変更できない点です。なぜか背景の黒地は透明度を変更できるオプションが用意されていますが、波形の透明度は変更できません(執筆時現在)。邪魔になるときは、アイコンをタップして非表示にする必要があります。これはちょっと手間ですね 😅
ゼブラ表示
白飛びや肌の適正露出を見極めるのに役立つ機能です。右端の歯車のアイコンをタップすると、閾値(しきい値)を変更できます。設定した、閾値よりも明るい箇所が縞々で表示されます。
Accsoon SeeMoのゼブラ表示機能 ©
使ってみて、少し不満だと感じたのが、閾値を変更できるUIが小さすぎて、タップ操作が反応しにくいことです。これは是非とも改善していただきたいです。
フォールスカラー(偽色表示)
こちらもカメラ映像や写真撮影時の露出を見極めるのに役立つ機能です。明るい箇所を赤色表示し、暗い箇所を紫で表示。肌の適正露出とされる明るさを肌色で表示できます。
Accsoon SeeMoのフォールスカラー表示機能 ©
色鮮やかなカラーで各箇所の明るさを把握できるので、私自身は愛用している機能の1つです。
露出を上げると赤い箇所が増えていく ©
露出を上げると赤い箇所が増えていく ©
白飛びしている箇所が赤色の部分で把握できます。逆に露出を落としていき、暗くしていくと紫色や青色のエリアが出現します。
露出を下げていくと紫色や青色の箇所が増えていく ©
紫色が黒つぶれしやすい箇所だということが把握できます。
モノクロ&単色表示
輝度を確認したり、暗部ノイズを把握するのに役立つ機能です。
Accsoon SeeMoのモノクロ表示 ©
Accsoon SeeMoの単色表示 ©
ピーキング機能(合焦位置の把握)
入力された映像の中でピントが合っている箇所を、赤色などのラインで把握できる機能です。マニュアルレンズ操作では特に重宝する機能です。
Accsoon SeeMoのピーキング表示 ©
オプション設定では線の太さや色を変更できます。
スクリーンショット保存機能
入力映像を静止画として保存できる機能です。保存された静止画像はカメラロールに保存されます。
入力映像を静止画として保存できる ©
入力映像のキャプチャー(外部レコーダー機能)
Accsoon SeeMoではiPhoneやiPad内にHDMIへ入力した映像ソースを保存できます。画面上の赤丸をタップすると、すぐに記録が開始されます。
Accsoon SeeMoで映像をキャプチャーする ©
キャプチャー機能の凄いところはしっかりと音声も記録されることです。一般的には外部レコーダーと呼ばれているATOMOS NINJA V+やBlackmagic Design VideoAssistシリーズ等の機能に似ています。従来では、カメラモニター兼内部レコーダー付きの製品が必要でしたが、Accsoon SeeMoを使えばiPhoneやiPadにカメラ映像を直接記録することができます。
カメラロールに保存されたHDMI入力映像。音もしっかり再生される ©
私の場合はYoutubeのレンズレビューなどで、カメラの設定情報やファインダー像を記録することが多いので、この機能が搭載されている事はものすごく助かります。例えば、SONY α7IVやα7SIIIなどのSONY製のミラーレスカメラでは、「HDMI情報表示」という設定があります。そちらを有効にすると、ファインダー像をキャプチャーすることができます。
SONY α7IVやα7SIIIなどSONY製ミラーレスに備わる「HDMI情報表示」 ©
ファインダー像をカメラモニターでも表示できる ©
例えば、記録した映像素材は、次の動画のような使い方ができます。
今まではAccsoon CineEye 1080PやBlackmagic Design VideoAssist 7インチ 12G HDRを使って映像をキャプチャーしていたのですが、今後は凄く楽になりそうです!
キャプチャー映像のビットレート設定
Accsoon SeeMoでは画面右端のアイコンをタップすると、キャプチャーする映像のビットレート(VIDEO BITRATE)を変更できます。
キャプチャー映像のビットレート設定 ©
入力されたHDMIをストリーミング配信
Accsoon SeeMoではモニターとしてスマートフォンやタブレットを活用するため、ネット回線を利用したストリーミング配信を行う機能が用意されています。
Accsoon SeeMoのストリーミング配信機能 ©
SNSはYoutubeやFacebookに対応しており、配信コードを入力すればすぐ配信できるようです。更に、オーバーレイ機能を使えば、入力映像に画像フレームをはめ込むことも可能です。
オーバーレイ表示(任意画像を重ねられる)
Accsoon SeeMoならではのユニークな機能です。iPhoneやiPadに保存されているカメラロールの画像を読み込み、画面上層に重ねられる機能です。透明度も自由に変更できます。
読み込んだ画像の透明度を変更できる ©
今回は単純な画像を上に重ねていますが、おそらく透過GIFや透過PNGファイルを読み込めば、配信用の画像フレームをはめ込んだ状態を作れるかと思います。
透明度を変更し、100%にすると前面に静止画像が表示される状態となる ©
オーバーレイ表示は、前述のストリーミング配信で活用できそうな機能ですね!
グリッドラインのガイド表示(3分割線)
撮影の構図を決めるときに役立つ補助線表示の機能です。Accsoon SeeMoでは3分割の表示に対応しており、右端にある歯車のアイコンをタップすると、線の太さやカラーを変更できます。
Accsoon SEEのグリッドラインのガイド表示(3分割線) ©
アスペクト比率マーカー&ガイドライン
映画の2.35:1
画面比率やインスタグラムの1:1
、インスタグラムリールの16:9
など、撮影した映像素材を利用したい環境を想定しながら、映像の有効エリアを把握できます。
Accsoon SeeMoのアスペクト比率マーカー&ガイドライン表示機能 ©
私の場合は自主映画の撮影や地域メディアのインスタグラム用に映像素材を撮影することがあるので、こういたアスペクト比率をガイドライン表示できるのは非常に助かっています。更に、内部へ枠線を入れることもできますので、テロップ挿入位置なども撮影中に意識することができます。
アナモルフィック・デスクイーズ表示
アナモフィックレンズなどの特殊なレンズを使った際に起こる画面倍率の圧縮に対して、デスクイーズされた映像を表示してくれる機能です。通常のモニター縦横比率では歪んで見えてしまう時に重宝します。
Accsoon SeeMoのデスクイーズ機能 ©
左右反転表示(自撮り撮影に便利)
いわゆる水平フリップ機能です。最近のバリアングル液晶モニターを搭載したカメラや、180°開閉できるチルト液晶を搭載しているカメラでは、画面を左右反転させる機能が搭載されていますが、Accsoon SeeMoでもカメラ・レンズ側にモニターを向けて撮影したい時に役立つ機能です。
Accsoon SEEの左右反転表示機能 ©
特に自撮りで重宝する機能 ©
カメラモニター製品によっては搭載されていない機能なので、この機能がサポートされているのは個人的に有り難いです。
3DLUTファイルの読み込みと表示
カラーグレーディング後の映像を把握できる機能です。外部の3DLUTファイルを読み込み、カメラモニターに適用できます。
Accsoon SeeMoの3DLUTインポート・適用表示機能 ©
音量レベルメーター
入力されたHDMI映像ソースの音量を、左側で表示されたバーで知ることができます。
Accsoon SeeMoのレベルメーター ©
アイコンの表示非表示
モニタリング機能は豊富に用意されているので、沢山アイコンがあってアクセスしにくい…といった時に使えるのが「ADD/DEL」機能です。タップすると、特定のモニタリング機能アイコンをON・OFFにできます。
Accsoon SeeMoのアイコンの表示・非表示 ©
使わない機能は非表示にして、呼び出したい機能を整理できます。
Accsoon SeeMoの動画解説
実際にスマートフォンを使って画面を表示させた様子や、表示遅延、モニター機能の解説と使い勝手については、Youtubeでも詳しく解説していますので、下記もご覧ください。