LightroomにMIDI2LRという無料プラグインを導入すると、MIDIコントローラーのつまみやスライダー、ボタンの操作でレタッチ(RAW現像)を行うことができます。今回はMIDI2LRの導入方法や使い方について分かりやすく解説します。
MIDI2LRを活用するメリットは、ライトルームの細かいレタッチ作業を感覚的に進めることができる点です。露出やホワイトバランスの微調整など、細かい編集作業を行う方にはおすすめのツールだと思います。
導入するとこんな感じになります ©
それではMIDI2LRの詳細について詳しく見ていきましょう。
目次
LightroomをMIDI2LRで操作する動画
MIDI2LRを使うと何ができるのでしょうか?そちらについては、まず以下の動画をご覧ください。操作の様子が分かる簡単な動画を用意しました。
動画でご覧いただけるように、つまみ操作をするとLightroomの操作が連動します。動画の例では、写真の明るさ調整やコントラストの調整が行っていますが、その他にも自由に調整内容をコントローラーに割り当てることができます。
MIDIコントローラーとMIDI2LRってなに?
次に、MIDIコントローラーとMIDI2LRについて説明します。MIDIコントローラーは音楽機材の一種です。楽器のカテゴリーは電子楽器にあたり、通称でMIDIコンと呼ばれるタイプの機材です。
これに対して、MIDI2LR(ミディトゥーエルアール)は、Lightroomの各操作を連動させてくれるPC用のアプリです。nanoKONTROLのようなMIDIコントローラーと一緒に使います。MIDIについて、更に詳しく知りたい方は詳細な解説をご覧ください。
MIDI2LRに必要なものを揃えよう
それでは早速、LightroomをMIDIコントロールするために必要なものを揃えましょう。必要なのはこちらです。
- MIDIコントローラー機材
- MIDI2LR(無料アプリ)
Adobe Lightroom
バージョンは6以降、またはCC Classic 7.1以降のバージョンが必要
まずは、MIDIコントローラーについて見ていきたいと思います。
MIDIコントローラーを入手する
MIDIコントローラーは、一般的に音楽機材で使われているものを利用できます。例えば私が使っているのはこちらのMIDIコントローラーです。
私も愛用しているnanoKONTROL(第1世代モデル)です。
現在は、下記のようなLightroom専用のMIDIコントローラーまであります。
Lightroomをコントロールするために専用設計されたコントローラーです。直感的で使いやすいスライダーやツマミ構成となっています。
その他にもMIDIコントローラーは様々な種類があります。それぞれの特徴については別の解説ページをご覧ください。
Lightroom CC Classicを入手する
もしLightroomをお持ちでない方は以下から入手しておきましょう。Lightroomはオンラインコードが安く、セール期間に割引販売されている事が多く、Amazonで購入するのがオススメです。
Lightroom Classic CCをお使いの方は 7.1以降のバージョンにアップデートすると、MIDI2LRが正常に使えます。
MIDI2LRの入手方法
続いて、MIDIコントローラーとLightroomの操作を中継してくれるソフトを見てみましょう。MIDI2LRは、MIDIコントローラー機材の操作と、Lightroomを操作を橋渡してくれるライトルーム・プラグインです。
MIDI2LR
下記のreleasesにあるDownloads
のリンクからアプリをダウンロードします。
個人のプログラマさん@rsjaffeが作成されたオープンソース(無料)のアプリですので、もし素晴らしいと感じましたら寄付もお願いします。
MIDI2LRのインストール
まず、MIDI2LRをダウンロードします。ダウンロードは前述したReleasesというページにあるDownloads
のリンクからアプリをダウンロードします。
MIDI2LRのインストール ©
Mac OSXユーザーの方は、MIDI2LR-osx-installer.dmg
を、Windowsユーザーの方はMIDI2LR-windows-installer.exe
をダウンロードして、起動したウインドウの指示に従いながらインストールします。
インストールが完了したら、Lightroomを再起動します。次回からLightroom起動時に新たにウインドウ「MIDI2LRウインドウ」が表示されますので、これでインストールが完了です。
MIDI2LRの使い方
それでは実際にnanoKONTROLをPCに繋いで、MIDI2LRで操作してみましょう。
操作の割り当て(アサイン)
まず最初に、Lightroomの操作とMIDIコンの操作を紐付けます。この作業を「割り当てる(アサインする)」と言います。詳しくは下記の動画をご覧ください。
上記の動画のように、まずはMIDIコントローラーのツマミやスライダーを一つずつ触ります。触れたのを検知したMIDI2LRウインドウに、以下のような2つの項目が現れます。
項目 | 説明 |
MIDI Command | 触ったツマミやスライダーの番号が検出され、ここに追加される。機材の操作各部にはMIDI信号を識別するための番号が予め入っています |
LR Command | Lightroomで割り当てたい操作を、ここで選択します |
アサインの例1:露光量をツマミでグリグリ
動画のようにツマミを一つグリグリすると、MIDI Command
に番号が追加されますので、LR Command
からExposure(露光量)
を選びましょう。すると、次回からはツマミでLightroomの露光量をグリグリと操作することができるようになります。
LR-Commandの日本語和訳
LR Command
の和訳が分からない場合には、以下のページが参考になります。
アサインの例2:露光量の調整をリセットする
Lightroomの露光量を初期化(プラスマイナス0)にしたい時には、MIDIコントローラーのボタンにResetExposure(露光量のリセット)
を割り当てると、ワンボタンで露出が元に戻ります。
このように同じ要領を繰り返して、他のツマミ、スライダー、ボタンへ、Lightroomの操作を割り当てていきます。先ほどご紹介した動画では、露光量をnano KONTROLのツマミ1番に、シャドウの調整をツマミ2番にアサインして、最後にツマミ下部のボタンで露光量とシャドウのリセットを行う流れを動画で撮影してみました。
機材の操作部位をLightrooomのどのような操作を割り当てるかは、使う側が自由に決めることができます。これがMIDIコントローラーの楽しいところです。ライトルームで操作を操りたい内容をアサインしてみましょう。
アサインした設定は保存しよう
MIDI2LRは設定内容が稀に消えてしまう事があります。一通り設定が完了したら、設定を保存されることをオススメします。保存はMIDI2LRウインドウのsaveで保存する事ができます。万が一設定が消えてしまっても、次回からはloadで復元することができます。
実際に使っているアサイン例
私が実際にKORG nanoKONTROLで割り当ている設定例をご紹介したいと思います。LightroomのRAW現像・写真編集は現像する人によって調整するパラメータが違うと思うので、あくまで参考程度にご覧いただければ幸いです。
シーン1:基本補正とプロファイル
「おすすめのMIDIコントローラー」の項目でもご紹介したnanoKONTROL第1世代は、SCENE(シーン)
ボタンが左下に備わっています。このボタンは各つまみ、各スライダー、各ボタンを4パターン切り替える事ができるようになっています。これはどういうことかというと、
SCENE1
つまみ9個、スライダー9個、その他ボタン18個
→(アサインの例)Lightroomの基本補正の調整を割り当てる
SCENE2
つまみ9個、スライダー9個、その他ボタン18個
→(アサインの例)Lightroomの色相調整の操作を割り当てる
SCENE3
つまみ9個、スライダー9個、その他ボタン18個
→(アサインの例)Lightroomの彩度調整の操作を割り当てる
SCENE4
つまみ9個、スライダー9個、その他ボタン18個
→(アサインの例)Lightroomの明度調整の操作を割り当てる
といった感じで、Lightroomの各操作に割り当てることがでるようになっています。つまり、見た目はツマミ操作できる箇所が9個なのですが、シーン機能によって9 x 4 = 36
種類の操作を割り当てることができるわけです。
それではまず、SCENEを1に切り替えて、以下のようなLightroomの操作を割り当ててみます。
nanoKONTROLのSCENE1 アサイン例:基本補正とプロファイル ©
スマホでご覧になっている方は画像を拡大してご覧ください。先ほどもご紹介した動画のように、Lightroomの基本補正に関するツマミ操作と操作のリセット機能を設定してみました。
プロファイルは、Lightroomのキャリブレーションの項目にあるプロファイル(絵作り)の設定のことです。撮影したカメラによって用意されている項目が異なりますが、例えば
- ニュートラル(忠実)
- フラット
- 風景
- ポートレート
- 美肌モード
- スタンダード
- クリアー
- ライト
などといった、カメラに内蔵されている絵作りを再現した設定が用意されているかと思います。今回はこのプロファイルをMIDI2LRに割り当てておき、素早くワンボタンで切り替えられるようにしてみました。
シーン2:HSLパネルの操作
続いてSCENE2〜4では、HSLパネル(色相、彩度、明度)の操作を割り当ててみました。nanoKONTROLのSCENEボタンを押して、SCENE2や3、4に切り換えます。
- SCENE2 → 色相調整(Hue)
- SCENE3 → 彩度調整(Saturation)
- SCENE4 → 明度調整(Lightness)
下記はSCENE2の色相調整のアサイン例です。
nanoKONTROLのSCENE2 アサイン例:HSLパネル操作 ©
SCENE2と同じようにボタンで各色の調整をリセットすることができます。
LightroomのプリセットをMIDIコンから一発呼び出し
MIDI2LRでは、LightroomのプリセットをMIDIコンで呼び出す事ができます。
など、頻繁に使うプリセットをMIDIコントローラーから素早く呼び出してみましょう。
MIDI2LRではLrプリセットもアサインする事が可能 ©
上記の画像は実際にLightroomのプリセットをアサインする例です。
MIDI2LRではオプションで予め登録しておいたプリセット(Develop Preset 1〜40)から選ぶ事ができます。
Develop PresetはLightroom→ファイル→プラグインエクストラ→MIDI2LR→オプション
から設定ウインドウを呼び出し、ウインドウで任意のプリセットを登録していきます。
MIDI2LRのオプション設定 ©
以下がプリセットの登録画面です。UIが分かりにくい作りになっていますが、左のプリセット一覧から使いたいプリセットを選択し、Develop Preset 1〜40に登録していきます。
MIDI2LRのオプション設定:プリセットの登録画面 ©
左のプリセット一覧の最初の4つは、Develop Preset 1〜4に対応しています。続いて、Develop Preset 5〜8の登録作業を行いたい場合は、左上の現像プリセットタブで切り替えます。
執筆時のMIDI2LRバージョンでは、オプション画面が大きいので、モニター画面が小さいと、閉じるためのボタンが画面外にある為、クリックできません。全て登録が完了したら画面右下のOKボタンか、Enterキーを押して設定画面を閉じましょう。
その他の詳細機能
MIDI2LRのオプションダイアログでは、前述したプリセット呼び出し機能の他に以下のような機能が設定できます。
- プリセット・セクション
- プロファイル
- ライブラリー・フィルター
- その他、ショートカット登録
詳しくはプラグインオプションダイアログについての説明をご覧ください。
github | rsjaffe/MIDI2LR/wiki
Plugin Options Dialog
特にOther settings(その他)の設定項目にあるTemperature Limits(色温度)は、自身がよく使う色温度の範囲に設定しておくと、操作範囲が細かくなるので使い勝手が向上すると思います。
MIDI2LR使用時に不具合が起きたら
使用時にフリーズ(動作が停止)してしまったり、その他の不具合が発生した場合には下記のサイトをチェックしてみましょう。
rsjaffe/MIDI2LR - github
Q&Aや把握されている問題
現在報告されている問題(issues)
MIDI2LRは、頻繁に修正とアップグレードがされていますので、小まめに更新する事をおすすめします。
rsjaffe/MIDI2LR - github
リリース情報(アップデート情報)
最後に
MIDIコントローラーからライトルームをMIDI経由で遠隔操作することができるnanoKONTROLとMIDI2LRの使い方をご紹介しました。
細かいホワイトバランス調整や明るさの調整が、アナログ感覚でストレスなく行えますので、もし興味をお持ちになりましたら導入を検討してみてはいかがでしょうか。
また、LightroomのMIDIコントロール導入と併せて、ショートカットキーも覚えておくと、作業スピードが早くなるかと思いますので、以下も宜しければご覧ください。
それでは、ストレスフリーなRAW現像ライフを!