Lightroomの操作にMIDIコントローラーを導入するときの注意点を解説します。
MIDIコントローラーは、一般的に市販されている電子楽器をそのまま利用することができます。楽器は多くの機種がありますが、それぞれに長所や短所があります。そこで、何を選んだら良いのか注意すべき内容を当記事でまとめました。
また、LightroomのMIDIコントロールについては下記の記事が参考になります。
目次:MIDIコントローラーの注意点
nanoKONTROL第1世代と2世代の違いに注意
省スペースで価格を安く済ませたい方には、下記のnanoKONTROLがおすすめです。
私も愛用しているnanoKONTROL(第1世代モデル)です。
ただし、nanoKONTROLには第2世代となるnanoKONTROL2というモデルがあります。
第2世代モデルのnanoKONTROL2は、iPadやiphoneでUSB接続できるように省電設計されたり、シーン切換機能廃止などの細かい仕様変更が加えられた。これによりコントロール可能な数が少なくなった。ただし入手しやすく、安い価格帯で気軽にMIDIコントロールを始められる点は良所かもしれない。
見た目がそっくりなのですが、実は機能に違いがあります。この2つの中では第1世代がオススメです。第1世代をオススメする理由は2つあります。
- 第2世代に比べてスライダーとツマミが1つ多い
- シーン切換機能の搭載により操作部位が4倍になる
特に第1世代では、シーン機能と呼ばれるものが搭載されており、2世代モデルに比べると4倍の操作部位をLightroom操作に割り当てることができます。第2世代モデルのnanoKONTROL2では、このシーン機能が廃止されてしまいました。
シーン機能とは?
シーン機能がどういったものなのかは、イメージが湧きにくいと思いますので下記の画像のような例を挙げたいと思います。大まかに説明すると、シーン機能が搭載されているMIDIコントローラーでは、以下のように4つのパターンで割り当てが可能になります。
SCENE1
つまみ9個、スライダー9個、その他ボタン18個
→(アサインの例)Lightroomの基本補正の調整を割り当てる
SCENE2
つまみ9個、スライダー9個、その他ボタン18個
→(アサインの例)Lightroomの色相調整の操作を割り当てる
SCENE3
つまみ9個、スライダー9個、その他ボタン18個
→(アサインの例)Lightroomの彩度調整の操作を割り当てる
SCENE4
つまみ9個、スライダー9個、その他ボタン18個
→(アサインの例)Lightroomの明度調整の操作を割り当てる
見た目とは違って、何種類もの割り当てができます。
nanoKONTROLのSCENE1 アサイン例:基本補正とプロファイル ©
nanoKONTROLのSCENE2 アサイン例:HSLパネル操作 ©
nanoKONTROL2では一種類(例えばSCENE1)の割り当てしか行うことができません。
KORG nanoKONTROLの問題点と注意点
良いこと尽くめに見えるnanoKONTROLですが、幾つか注意点と問題点があります。
新品が入手困難となっている絶版品
nanoKONTROL第1世代は現在、廃版となっています。つまり新品が出回っていません。入手される場合は中古品を探す事になります。Amazonでもマーケットプレイスで中古品が販売されている事があります。
どうしても新品がご希望の場合は、この後で紹介する以下の機材をおすすめします。
つまみ操作が絶対値なので連動しない事がある
Lightroomで複数の写真を編集する際に気になるのが、つまみ(ノブ)の位置が絶対値でコントロールされてしまう点です。どういうことなのかは、下記の図を用意しましたのでご覧ください。
MIDI2LRのつまみ操作と同期状態 ©
上図は、次のようなLightroomの操作を図にしたものです。
1枚目の写真を明るく調整する (調整例:+1.0EV)
つまみ操作(A0→A1
)とLightroomの露光量の調整は問題なくリンクしている。写真の露光量は+1.0EVに調整された。
2枚目の写真に移動する
Lightroomで2枚目の写真へ移動します。1番目の操作により、つまみの位置がA1
にあるため、2枚目の写真の露光量値(±0.0EV)とリンクしていない状態からスタートする事になる。
2枚目の写真を暗く調整する (調整例:-0.5EV)
A1→A0
までのツマミ操作はLightroomに反映されない。2枚目の写真の露光量値の±0.0EVに対応するA0
につまみ位置が触れた時点から操作可能となる。つまりA0→A2
までの操作がLightroomでリンクする。
実はMIDIコントローラーは、製品によって操作位置の絶対値をコントロールできるツマミと、相対値をコントロールできるツマミに別れるようです。前述しているように、nanoKontrolシリーズは絶対値つまみタイプの製品です。
操作の様子は以下の動画をご覧ください。つまみ操作の一部でリンクしていない所がお気づきかと思います。
実際に、MIDI2LRで操作してみてツマミ操作が好みに合わない方もいらっしゃるかと思います。もし、nanoKontrolのツマミに馴染めない場合は、以下で紹介するアートリアのBEATSTEPやベーリンガーのX-Touch Miniを導入すると良さそうです。
この2つのコントローラーは、相対値のつまみ位置をコントロールできる、珍しいMIDIコントローラーです。
無限回転に対応したMIDIコントローラーを活用する
海外でnanoKONTROLに次いで人気が高いのが、以下でご紹介するアートリア BEATSTEPとベーリンガーのX-TOUCH MINIです。
MIDIコントローラーに付属するソフトMIDI Control Center(日本語PDF)でツマミ操作を相対操作モードに変更できる優れたMIDIコンです。相対ツマミへの変更方法はMIDI Control Centerの画面上でOptionをRerative #1に設定。またMIDI2LRのCC Messaage TypeをBinary offsetに設定して使います。
こちらは、相対値のつまみを備えた貴重なMIDIコントローラーです。つまみ操作には始点と終点が無く、無限回転できる仕様となっているのが特徴です。
設定の手軽さとしては、BEATSTEPの方が感覚的で分かりやすいので特にオススメです!また、X-TOUCH MINIについては、以下のようなレビューもありますので参考にすることができます。
T.Yamanaka氏のnote | note.mu
Lightroom現像用にセットアップしたX-Touch miniのラベルを作った
X-TOUCH MINIは、nanoKONTROLと同様に場所を取らずコンパクトで使い勝手が良さそうな印象です。youtubeではLightroomと伴に使われている動画を多く見ることができます。ただし、価格はnanoKontrolの2倍くらい高いですね。
X-TOUCH MINIの注意点
X-TOUCH MINIをLightroomで使用するにはWindowsのPCからファームウェアのインストールが必要になるそうです。Mac OSXのみお持ちの方には敷居が高そうです。
nanoKONTROLと似ているWorlde EasyControl9
Worlde EasyControl9は価格も手頃で場所も取らず、nanoKontrol第1世代のシーン機能と似たものを備えているようです。
EasyControl9を導入された日本語のブログでは、以下のレビュー記事がとても参考になります。
やっさんの鳥撮りワールド
MIDIコントローラーでLightroomの操作
EasyControl9は、メーカーから提供されているソフトウェア「Easy Control Editor」でMIDI信号のカスタマイズも可能です。