映像や画面で無線で送信できるINKEE BENBOXを使ってみましたので、使い方や使用感想を書きたいと思います。

BENBOXは、1万5千円程度と価格が安く、カメラのホットシューに装着できる小型サイズの送信機です。スマートフォンやiPadなどのタブレットを最大4台までディスプレイとして表示させることができます。表示解像度は最大で1080pまで対応。4Kなどの映像が入力された場合には1080pへ自動で変換してくれます。

INKEE BENBOX本体の外観。カメラのホットシューに装着できる
INKEE BENBOX本体の外観。カメラのホットシューに装着できる ©
カメラのモニターをiPhoneで表示させた例。iPhoneは離れた場所でも表示できる
カメラのモニターをiPhoneで表示させた例。iPhoneは離れた場所でも表示できる ©
こんな方におすすめ!
  • 価格が安いトランスミッターを探してる
  • 送信機の重量が軽い製品が良い
  • シンプルに画面表示できれば良い
  • 集合写真や自撮りをしたい

    → スマホからカメラの撮影開始操作ができる(後述)

実際に使ってみると、全体の動作は安定している印象でした。カメラのファインダー像をスマホへ表示させたい用途でしたら、必要十分な機能を有しているので、この手の製品を試してみたい方にはオススメだと思います。

また、当製品を使用する際にはカメラとBENBOXを繋ぐHDMIケーブルが必要になります。予めHDMIケーブルを用意しておきましょう。その他のワイヤレストランスミッターについては以下が参考になります。

それでは、INKEE BENBOXについて、詳しく見ていきたいと思います!

目次:INKEE BENBOXの使用感想レビュー

BENBOXの使い方が分かる解説動画

INKEE BENBOXの使い方や使用時の動作が分かる動画を用意していますので、そちらもご覧ください。

BENBOX画面表示の遅延はどれくらい?

INKEE BENBOXの遅延は150msと言われています。前述の動画では、手を降った様子を撮影例を例に挙げて、遅延の度合いを説明していますが、ワイヤレスで受信したiPhoneの画面では、手の動きが僅かに遅れて表示されいるのがご覧いただけると思います。

BENBOXの遅延。カメラとiPhoneを見比べると僅かに遅れている
BENBOXの遅延。カメラとiPhoneを見比べると僅かに遅れている ©

ただ、見た目上では殆ど気にならない程度の遅延だと感じました。これだけ元の映像に追従しているのは凄いですよね!

BENBOXでスマホやタブレットで画面表示させる方法

それでは実際にBENBOXを使って、iPhoneに画面表示させるまでの手順を見ていきたいと思います。

BENBOXの電源ONとOFFの方法

まずINKEE BENBOX本体の電源を入れていきましょう。

カメラに装着して使用する予定でしたら、カメラ上部にあるホットシューという溝へBENBOX本体を差し込んでおきます。その後で、BENBOXの上部にある丸いボタンを1回押した後長押しします。

本体上部のボタンを1回押した後、長押しで起動する
本体上部のボタンを1回押した後、長押しで起動する ©

1回押すと、現在のバッテリー残量を知ることができます。また、電源を切る方法も同じ方法となります。

Wi-Fiに接続する

続いて、ディスプレイにしたい端末(スマホ・タブレット等)からINKEE BENBOXにWi-Fi接続しておきます。

例えば、iPhoneからBENBOXへWi-Fi接続したい時には、BENBOX-***のようなネットワーク名が見つかりますので、選択します。

iPhone>設定>Wi-Fi でBENBOXのネットワークを探す
iPhone>設定>Wi-Fi でBENBOXのネットワークを探す ©

そして接続時にはパスワードを要求されますので、12345678と入力します。これでBENBOXとスマホの接続が完了しました。

BENBOXの専用アプリをインストールする

INKEE BENBOXに入力された映像を、スマートフォンやタブレットに表示させるには、INKEE(IN-KEE Benbox APP)というアプリをインストールします。

BENBOXを使うにはINKEEというアプリのインストールが必要
BENBOXを使うにはINKEEというアプリのインストールが必要 ©

iPhoneやiPad、AndroidはこちらをアプリをインストールすればOKです。

iPhoneやiPadでカメラのファインダー像を表示

ここまで準備が完了しましたら、最後にINKEEのアプリ画面からワイヤレス表示を開始します。スマホ画面の左側にある丸いボタンの中でも下にある▼ボタンを押します。

(下の写真の例では、既に画面表示が行われていますので表示停止ボタンのアイコンに変わっています。)

最後にスマホ画面の左側にある丸いボタン(下から1番目のボタン)を押す
最後にスマホ画面の左側にある丸いボタン(下から1番目のボタン)を押す ©

これでカメラの映像をスマートフォンに表示させることが出来ました。続いて操作方法や機能を見ていきましょう。

BENBOXのアプリ使用方法

続いて、BENBOXの専用アプリINKEE(IN-KEE Benbox APP)の使用方法について見ていきましょう。

リモートコントロール(動画撮影・写真撮影の開始)

BENBOXでは、付属されているカメラケーブルをBENBOXとカメラ本体に接続すると、iPhoneやiPad、Androidなどの端末から撮影を開始することができます。

スマホのボタンから動画撮影を遠隔で開始できる
スマホのボタンから動画撮影を遠隔で開始できる ©

上記の写真は、カメラが動画撮影モードのときに、スマートフォンの赤いボタンを押すと、動画撮影が開始される様子です。

同じように、カメラを写真撮影モードに切り替え、カメラアイコンをタップすると、写真撮影を行うことができます。

スマホのボタンから写真撮影を開始できる
スマホのボタンから写真撮影を開始できる ©

カメラには連写機能やセルフタイマー撮影機能があるかと思いますが、基本的にはカメラの設定をそのまま利用できるようです。

例えば集合写真を撮りたいときに、どなたかにカメラを渡し、スマートフォンを持って自分でファインダー像を確認しながら、シャッターを切るといった使い方も出来そうです!

カメラコントロール機能の注意点

カメラコントロールは、

  • 絞り
  • シャッター速度
  • ISO
  • 写真撮影、ビデオ録画

などの制御がサポートされていると記載されています。しかし、商品説明には注意書きがあります。

SONYのカメラだけは撮影開始の操作のみコントロールできる仕様のようです。また、SONY α7IIIなどの、カメラ本体側の設定では、USB設定を「PCリモート」にするとコントロールができるようになります。

それではINKEEに備わっているモニタリング機能を見ていきましょう。

ヒストグラム(輝度)

スマホアプリのINKEEで右下にあるアイコンの左側を選択すると、ヒストグラム表示ができます。

INKEEのヒストグラム表示機能
INKEEのヒストグラム表示機能 ©

こちらはカメラに搭載されているグラフと同じで、カメラに写っている輝度の分布を知ることができます。左側に振り切れると、黒つぶれ。右に振り切れると白飛びしていることが分かります。

例えばカメラのF値を絞っていき、カメラの像を暗くしていくと、ヒストグラムの輝度分布も左へ移動していきます。

カメラのF値を絞ると、ヒストグラムの輝度分布が左に移動する
カメラのF値を絞ると、ヒストグラムの輝度分布が左に移動する ©

ゼブラパターン(縞々表示)

スマホアプリのINKEEで、右下にあるアイコンの中から、左側から2つ目を選択すると、ゼブラが表示されます。

INKEEのゼブラパターン表示機能
INKEEのゼブラパターン表示機能 ©

ゼブラは選択した数値以上の明るさとなる箇所を、縞々で表示させる機能です。縞々を表示させる数値(閾値)は、画面上を左右にスワイプすると増減させることができます。

モノクロ表示(単色表示)

スマホアプリのINKEEで、右下にあるアイコンの中から、左側から3番目を選択すると、グレーの単色表示となります。

INKEEのモノクロ表示機能
INKEEのモノクロ表示機能 ©

こちらはノイズの確認や、画面中の導線を確認したい時に便利です。

構図ライン表示

スマホアプリのINKEEで、右下にあるアイコンの中から、右側から2番目を選択すると、構図表示となります。

INKEEの構図表示機能(三分割構図)
INKEEの構図表示機能(三分割構図) ©

アイコンをタップするごとに、構図の種類が切り替わります。カメラに搭載されている三分割構図の他に、フィボナッチ構図や放射線状構図を表示できます。

INKEEの構図表示機能(フィボナッチ構図)
INKEEの構図表示機能(フィボナッチ構図) ©
INKEEの構図表示機能(放射線状構図)
INKEEの構図表示機能(放射線状構図) ©

3DLUT表示

スマホアプリのINKEEで、右下にあるアイコンの中から、右側から1番目を選択すると、3DLUT表示となります。LUTは映像のカラーグレーディングを決める色変換情報のことです。

雲のアイコンをタップすると、選択したLUTのダウンロードが始まり、緑色のアイコンで3DLUTの適用開始とモニタリングが行えます。

INKEEの3DLUT表示機能
INKEEの3DLUT表示機能 ©

また画面上を左右にスワイプすると、3DLUTの適用前後を確認することができます。

3DLUTの適用前後を確認できる
3DLUTの適用前後を確認できる ©

INKEE BENBOXの外観と付属品について

それではBENBOXの外観を見ていきましょう。カメラのホットシューにINKEE BENBOXを装着すると、ご覧のようにコンパクトです。

INKEE BENBOX本体の外観上部。ボタンとバッテリー残量が確認できる
INKEE BENBOX本体の外観上部。ボタンとバッテリー残量が確認できる ©

見た目はストロボで使うようなワイヤレスコマンダーを太くしたような形状です。本体裏側には、ヒートシンクのような切り込みが備わっており、25℃の環境で使い続けた感想としては、そこまで熱くなりませんでした。

冒頭でも触れたように、使用するには別売りのHDMIケーブルが必要です。

また付属品として、本体送信機とカメラを繋ぐカメラコントロールケーブルが用意されています。例えばSONYのミラーレスカメラに繋ぐと次のような外観になります。

INKEE BENBOX本体の外観(正面)
INKEE BENBOX本体の外観(正面) ©

残念ながら、ケーブルが短いので、コードが突っ張る印象でした。こちらは1-2cmほど長いケーブルだと良かったと思います。また、ケーブルは以下の写真のように5種類用意されています。

INKEE BENBOX購入時に同梱されるケーブル5種類
INKEE BENBOX購入時に同梱されるケーブル5種類 ©
  1. SONY製カメラ対応のMicro USB端子
  2. USB Type-C端子 充電用
  3. Micro USB端子
  4. Mini USB端子
  5. Panasonic製カメラ対応のリモコン端子

気になった点

続いてINKEE BENBOXを使用して気になった点をまとめたいと思います。

  • たまに遅延が大きく発生することも。

    → アプリ再起動または本体再起動で解消できました

  • カメラコントールができない時も

    → こちらもカメラ再起動で復帰できるようです

  • 付属カメラコントールケーブルが短い

    → SONYのカメラに配線するにはギリギリの長さでした。線が突っ張りますので、もう1-2cmだけ長いと良かったです。

INKEE BENBOXの仕様

性能・特徴 説明
サイズ 77mm x 50mm x 36mm
重量 125g
バッテリー 内蔵 (USB充電可能) 3.5時間の動作。入力電圧は5V2Aに対応。
スマホ・タブレット表示 対応
HDMI出力・受信機 非対応
アクセサリー コールドシュー。カメラのホットシューに装着可能。また1/4インチネジに対応
カメラ設定コントロール 対応
映像規格 入力:フレームレートは60fps・30fps・24fpsに対応。解像度は1080p・720p・276p・480pに対応。出力:1080p 30fps
ワイヤレス規格 有効範囲:約100m、デュアルチャネルWIFI(2.4G + 5G)+ Bluetooth(2.4G)

全体の作りとしては、AccsoonCineEyeの方が完成度が高い印象なのですが、INKEE BENBOXは価格が非常に安く、スマートフォンから撮影のコントロールができる点が優れていると感じました。