Portkeys HS7T Metal Editionというカメラ用外部液晶モニターの感想や使い方をブログで書きたいと思います。一般のカメラモニターと同じく、HDMIやSDI入力に対応した7インチの液晶ディスプレイになります。
更に面白い特徴もあります。ワイヤレス映像伝送トランスミッターを連結したり、電源を立ち上げたまま、バッテリーの差し替えが行えるようになっています。
HDMIとSDI入出力を持つ液晶モニターです。7インチHDR大画面と1200nitの輝度、内部は冷却ファンを備えており、筐体はメタル製で頑丈。更に、別売りのワイヤレストランスミッターを裏側に装着でき、無線伝送可能なディスプレイにする事もできます。
HS7Tの画面表示例 ©
HS7Tの背面は、映像トランスミッター(別売り)へ電源供給や装着できる構造を持つ ©
それでは、Portkeys HS7Tについて、詳しく見ていきたいと思います!
目次:Portkeys HS7T液晶モニターの使用感想レビュー
Portkeys HS7Tの使用感想とメリット
Portkeys HS7Tにはバッテリー2つと映像送信機が装着できる ©
一般的な外部液晶と比べると、Portkeys HS7Tでは、いくつかの優位性があります。
ワイヤレストランスミッターを直接装着できる
→ 無線の映像送受信機を兼ねたディスプレイとして使える。さらに、接続にはリグやバッテリーが不要となるため、機材構成がシンプルに。
電源を落とすことなくバッテリー交換が可能
→ バッテリーはワイヤレストランスミッターへの給電も同時に行う事ができるが、バッテリー消費が早くなるのがネックに。しかし、バッテリースロットが2つあることで、ディスプレイと送信機の両方をシャットダウンすることなく、バッテリー交換ができる!
SDI入出力端子に対応
- メタルボディによる堅牢な作り
- 側面の4辺に1/4インチカメラネジ穴が用意されている
Portkeys HS7Tは外部液晶モニターとしては価格が高い製品に位置しますが、上記のメリットは他の機種には搭載されている事が少なく、珍しい特徴を網羅しています。特に、上記の1と2を兼ね備えている事が優れているポイントです。
外部液晶モニターを積極的に使いたい場面では、間違いなく役立つでしょう。
ただし、ワイヤレストランスミッターは内蔵されているわけではなく、別売り品のため、すべての機能を活用するには追加の投資が必要となります。
0.1秒以下の最小遅延で1080P 60Hzの映像をワイヤレスで送信できます。入力端子はHDMIまたはSDIに対応。使用シーンは、1つの送信機と2つの受信機、または1つの送信機と1つの受信機に加えて4つのiOSまたはAndroidスマートフォンとタブレットに対応しています。伝送可能な範囲は最大400フィート(約120m)・日本国内の技適取得済製品となっており、屋内で使用可能となっています。詳しくは解説レビューを御覧ください。現在は新製品の400S Proが登場しています。
既にトランスミッターをお持ちの方でしたら、普段と同じ感覚で使用できますので、非常に相性が良い外部モニターとなるかと思います。
Portkeys HS7Tの付属品
それでは外部液晶モニター「Portkeys HS7T」の外観を見ていきましょう。ディスプレイ本体の正面はプラスチックの材質で覆われており、4点を六角レンチで取り外しできるネジによって固定されています。
Portkeys HS7Tの外観(正面) ©
購入時に付属される内容は次の通りです。
Portkeys HS7Tの内容物および付属品 ©
付属品には液晶を携帯するためのストラップも用意されています。液晶の4箇所へ紐を通すことができます。
Portkeys HS7Tの内容物および付属品(拡大) ©
上記画像のように、細かい付属品が幾つか用意されていますが、これらは専用の電源ケーブルやスペアパーツになります。
- D-tap電源用ケーブル
- 無線伝送トランスミッター装着口のクッション(予備)
- ディスプレイ正面を固定するネジ
- 六角レンチ
Portkeys HS7Tの外観と端子およびネジ形状
外部液晶モニター「Portkeys HS7T」では側面と背面に備わっているカメラネジや端子類に特徴があります。まずは大まかに見ていきましょう。
Portkeys HS7Tの背面 ©
Portkeys HS7Tの下部側面の端子類 ©
Portkeys HS7Tの左側面 ©
Portkeys HS7Tの右側面 ©
Portkeys HS7Tの上部側面 ©
それでは、順番に詳しく見ていきましょう。
2つのLバッテリー装着口と無線機の供給端子
Portkeys HS7Tで最も特徴的なのが本体の背面です。2つのバッテリー装着口と無線機用の電源供給端子を備えていますが、この2つについて詳しく見ていきましょう。
Portkeys HS7Tの背面 ©
モニターの連続稼働を可能にするバッテリー装着口
NP-F(Lシリーズ)バッテリーを同時に2つ装着可能となっています。例えば、1つのバッテリー残量が少なくなった時に、新たにバッテリーをもう一方へ装着して、残量が少なくなったバッテリーを抜く事ができます。
この交換作業を行っている間も液晶モニターは電源が入ったままとなり、交換用バッテリーがある限り外部液晶モニターの連続稼働が可能になります。対応するバッテリーについては下記を御覧ください。
この機能は、この後で説明するワイヤレストランスミッターの使用時にも凄く役立ちます!
ワイヤレストランスミッターと外部液晶を接続する
こちらもPortkeys HS7Tの特徴的な機能の1つで、別売りの映像トランスミッターを装着できます。例えば、Hollyland Mars400Sや400S Pro、Accsoon CineEye2などを使用できます。
背面には、NP-Fバッテリーと同じ形状のマウントが用意されており、そのマウントに映像トランスミッターを装着すると、映像トランスミッターへ給電されるようになります。
Portkeys HS7Tからワイヤレストランスミッターへ給電できる構造をもつ ©
Portkeys HS7Tにワイヤレストランスミッターを装着する ©
Portkeys HS7Tにワイヤレストランスミッターを装着した様子 ©
ワイヤレストランスミッターとPortkeys HS7Tの間は、映像ケーブルで接続することになります。一見すると、裏側でケーブル配線しなくてはならず、煩雑に思える設計なのですが、よく考えられています。
ワイヤレストランスミッターの映像出力端子とケーブルを接続 ©
外部液晶モニターの映像入力端子とケーブルを接続 ©
と言うのも、映像ケーブルの接続方法によって、ワイヤレストランスミッターからの映像を受信するディスプレイとして使ったり、送信機として使用できるんです。具体的には、次のような使い方が可能になっています。
Portkeys HS7Tからワイヤレストランスミッターへ給電できる構造をもつ ©
ワイヤレストランスミッターの接続箇所から、Portkeys HS7Tまでの間には指が入る隙間が用意されているので、取り外しも問題なくできるようになっています。
注意点としてはバッテリーの消耗スピードが早くなります。トランスミッターと同時使用した場合、バッテリー持続時間はNP-F550互換バッテリーで30分程度となります。従って、NP-F970バッテリーを幾つか用意しておくことをおすすめします。
ディスプレイ本体とワイヤレストランスミッターへ同時に電源供給する事になるので、バッテリーの消耗もその分だけ早くなります。使用する際には頻繁にバッテリーを交換するか、大容量のバッテリーを用意しておくと良さそうです。
前半でも説明した通り、バッテリースロットが2つ用意されているので、バッテリー交換時にディスプレイとワイヤレストランスミッターを電源OFFにすることなく連続使用できます。交換時に各種の設定をやり直す手間が掛からないのは、ストレスが無く、大きなメリットです。
HDMIとSDI入出力や3DLUTに対応
Portkeys HS7Tの下部側面の端子類 ©
Portkeys HS7Tの下部側面の端子類(2) ©
見るからに堅牢な作りです。
Portkeys HS7Tの筐体は金属製で作られており、非常に頑丈な質感となっています。また中央は1/4インチ
のカメラネジが2つと、NATOレールの形状になっています。三脚に2点のカメラネジを使って固定したり、NATOレールクランプを使ってマジックアームに固定するなど、しっかりした装着が可能になるよう設計されています。
NATOレールに対応しているクランプは、次のように沢山用意されています。
そして端子類は左から順番に
特にSDI入出力端子が備わっているのは貴重だと思います。
左右側面にカメラネジ穴を備える
Portkeys HS7Tの左右両側面では1/4インチ
カメラネジを備えています。左右にネジが備わっているのは中々珍しいと思います。さらに固定した液晶画面がズレ落ちないようにARRI位置決めピンが入る溝が用意されているようです。
Portkeys HS7Tの左側面 ©
Portkeys HS7Tの右側面 ©
ただ、ARRIピンを備えた1/4インチのカメラネジ製品を見かけないので、実質的に通常のカメラネジ穴のような使い方になるかと思います 😅
ショートカットボタンと電源スイッチ
Portkeys HS7Tの上側面では、電源スイッチと設定時に使用するダイヤルや、モニタリング機能を素早く呼び出せるショートカットボタンが4つ用意されています。よくある外部モニターでは2つのショートカットキーが用意されている事が多いですが、HS7Tでは4つも機能を登録して呼び出せます。
Portkeys HS7Tの上部側面 ©
上記の画像からみて、右側にF1からF4のショートカットキーが用意されており、右側に電源スイッチや設定画面を呼び出せるボタンとダイヤルが用意されています。
ショートカットキーはPortkeys HS7Tの設定画面から、好きな機能を割り当てることができます。
ショートカットは、好きな機能を4つ割り当てることができる ©
Portkeys HS7Tの設定方法と使い方
Portkeys HS7Tはタッチパネルに非対応で、設定は本体上部のダイヤルボタンを押すことで呼び出すことができます。始めに表示される内容はメインメニューとなっていて、この画面から更に詳細設定へ移動できます。
Portkeys HS7Tの設定画面のメインメニュー ©
用意されているメニューはこちらです。
- Guides
- Video Config
- System Config
- LUT Config
- Function Setup
- Firmware
- Exit
それでは各項目について詳しく見ていきましょう。
Guides(分割線や画面比率ガイドライン表示)
「Guides」を選ぶと、構図の参考になる分割線や、アスペクト比の参考となるガイドラインを表示させることができます。映画で一般的な2.35:1
や、16:9
などの映像用の比率、正方形の1:1
など多彩な設定が用意されています。
Portkeys HS7Tの詳細設定Gides ©
Portkeys HS7Tの詳細設定Gides(画面比率ガイドライン) ©
Portkeys HS7Tの詳細設定Gides(分割線) ©
Video Config(モニターの色合いや明るさの調整設定)
「Guides」を選ぶと、モニターの色合いを微調整できる設定項目が用意されています。
Portkeys HS7Tの詳細設定Gides(色合い調整) ©
コントラスト、明るさ、色偏差、色温度、液晶ディスプレイの輝度を3段階で変更する事ができます。
Portkeys HS7Tの詳細設定Gides(モニターのバックライト調整:Middle) ©
Portkeys HS7Tの詳細設定Gides(モニターのバックライト調整:High) ©
モニターが暗いと感じた時には上記の「Backlight」という項目を変更することになります。
System Config(言語設定など詳細の変更)
Portkeys HS7Tの更に詳細な設定を行うことができます。言語設定や設定画面の表示時間、そして画面を上下反転するFlip Control。バッテリー残量が少ない時の警告表示などが用意されています。
Portkeys HS7Tの詳細設定 ©
LUT Config(3DLUTファイルの読み込み)
予め用意した3DLUTファイルをUSBメモリーに保存しておき、本体のUSB端子に挿すと、3DLUTファイルを読み込むことができます。撮影時に色味を確認したい時に役立つ機能です。
Function Setup(ショートカットキーの呼び出し)
ファンションキーと呼ばれるモニター本体の上部に備わったボタン(F1からF4)を押すと、予め設定しておいた機能を素早く呼び出すことができます。
Portkeys HS7Tのショートカットキーの設定 ©
例えば、「Guides」で呼び出せるガイドラインの表示や、輝度波形モニター、以下のようにフォルスカラーなどの機能をショートカットキーとして呼び出すことができます。
Portkeys HS7Tのショートカットキーで呼び出せる機能例「フォルスカラー」 ©
フォルスカラーの概要については、以下の動画が参考になります。