カメラで撮影した写真がなぜかブレてしまう…。そんな悩みを初心者に分かりやすく解説する連載記事「一眼レフで写真がぶれるのはなぜ?その対策を解説してみる」の第3回です。
今回はレンズやカメラと、手ぶれの関係についての話です。実は選んだカメラやレンズによっては、ブレやすい物があるのをご存知でしょうか?
先に結論を言ってしまうと、別の記事でご紹介しているようなレンズを使って撮影するのがオススメです。
HOLGA HL-N + A7R2 | iphone 6S 写真 2016-01-03 15 40 59.jpg ©
目次
ご注意
この記事の中では、「手持ち撮影において、手ブレやすいレンズとは?」という観点だけに絞って見ていきたいと思います。
ブレについてのおさらい
第1回で解説しましたが、ぶれには手ぶれと被写体ぶれの2種類があります。
そして、第2回で説明したように、手ブレはカメラを揺らさない工夫を行うことや、被写体ブレには速いシャッタースピードで撮影するよう心がける事で、ぶれを防げることが分かりました。
ブレやすいレンズがあるの?
一眼レフ用のレンズはいろんな種類がありますよね。
実はレンズによっては、手ぶれしやすいレンズがあるんです。それがどんなレンズかは、次項で説明したいと思いますが、その前にまず、一つだけ覚えておきたい大切な法則があります。
手ぶれを防ぐ限界シャッタースピード
手ぶれを防ぐ限界シャッタースピード(秒) = 1 / レンズの焦点距離
焦点距離とは
焦点距離とはレンズ本体に記載されている、◯mmという表記の◯の部分のことです。実際にレンズをいくつか見てみましょう。
85mmのレンズです ©
ちょっと分かりにくいですが、こちらは55mmのレンズです ©
こちらは70-200mmのズームレンズで、70mmから200mmの間で変動します ©
一般に、手持ち撮影でブレる可能性が少ないシャッタースピードとは、1/レンズの焦点距離(秒)だと言われています。
レンズによって、手ブレを防げるシャッタースピードが違う
前述のように、手ぶれを防ぐ限界シャッタースピード
というものがあるのですが、例えば、
18mmのレンズ(広角レンズと呼ばれる)
必要なシャッタースピードは、1/18(秒)
よりも速いシャッタースピード。例えば1/20(秒)とか1/100(秒)とかあれば、更に手ブレしにくくなります。
50mmのレンズ(標準レンズと呼ばれる)
必要なシャッタースピードは、1/50(秒)
よりも速いシャッタースピード。例えば1/60(秒)とか1/1000(秒)とかあれば、更に手ブレしにくくなります。
300mmのレンズ(望遠レンズと呼ばれる)
必要なシャッタースピードは、1/300(秒)
よりも速いシャッタースピード。例えば1/400(秒)とか1/2000(秒)とかあれば、更に手ブレしにくくなります。
このように、レンズによって、必要な手ブレしにくいシャッタースピードは異なります。
上の例を見て分かる通り、望遠レンズ(例:300mm)は広角レンズ(例:18mm)よりも速いシャッタースピードが確保できなければ、手ぶれが発生する確率が高まります。
つまり、広角レンズ(例:18mm)よりも望遠レンズ(例:300mm)の方が手ブレしやすいのです。
手ブレを防ぐ機能を活用する
前述では、望遠レンズの方が手ブレしやすい事を説明しました。このことから、カメラに不慣れな時期は広角レンズや標準レンズを積極的に使うのがオススメです。
オススメレンズの一例を挙げると、次のようなものです。
その他は以下をご覧ください。
更には、カメラやレンズには手ブレを防ぐ機能が備わっていることがありますので、この機能を活用するのもおすすめです。これを手ぶれ補正と呼んでいます。
手ブレ補正機能
巷には、手ブレを防ぐ機能が備わっているレンズやカメラ本体があります。まずは下の動画をご覧ください。
手ブレ補正がOFFからONになった時点で、かなり揺れが抑えられているのが分りますよね。お手持ちのレンズやカメラに手ブレ防止機能が備わっているかどうかは、製品名を見れば判別することができます。
Canon (キャノン)
一眼レフカメラはレンズで補正、ミラーレスは一部カメラ側で補正している。キャノンレンズは製品名にIS
(Image Stabilizer)と記載があれば補正機能が備わっている。
Nikon (ニコン)
レンズで補正する。レンズ製品名にVR
(Vibration Reduction)と記載があれば補正機能が備わっている。
Sony (ソニー)
レンズやカメラボディで補正する。現行の殆どのカメラには手ブレ補正が搭載されている。レンズは製品名にOSS
(Optical Steady System)と記載があればレンズに最適な補正機能が働くようになっている。
PENTAX (ペンタックス)
SR
(Shake Reduction)と呼ばれるカメラボディ内の補正機能がある。現行の殆どのカメラには手ブレ補正が搭載されている。
TAMRON (タムロン)
VC
(Vibration Compensation)という記載があれば補正機能が備わっている。
SIGMA (シグマ)
レンズで補正する。OS
(Optical stabilizer)という記載があれば補正機能が備わっている。
Olympus (オリンパス)
レンズやカメラボディで補正する。レンズは製品名にIS
(Image Stabilizer)と記載があればレンズに最適な補正機能が働くようになっている。
補正効果を示す「段数」とは?
手ブレ補正は効果を表すものとして、「◯段分の補正効果」と説明されています。
この◯段分とは、段数
と呼ばれるカメラ用語です。例えば、1段分の手ブレ補正では、2分の1の速さまでシャッタースピードを遅くしても、手ブレが起きにくくなるという事を表しています。
各段数の手ぶれ補正効果を見てみましょう。
2段分の手ブレ補正
4分の1のシャッタースピードまで遅くしても、手ブレが発生しにくくなります。
3段分の手ブレ補正
8分の1のシャッタースピードまで遅くしても、手ブレが発生しにくくなります。
4段分の手ブレ補正
16分の1のシャッタースピードまで遅くしても、手ブレが発生しにくくなります。
といった感じで、段数が上がると2乗分の1だけシャッタースピードが遅くしても、手ブレが起きにくくなる効果があります。
段数の計算方法と手ぶれ補正効果
いつくか実例を上げて計算例を挙げてみましたが、まとめると、以下の計算で手ぶれ補正効果を知ることができます。
手ブレ補正◯段分の効果
手ブレしにくいシャッタースピード(秒) = ( 1 / レンズの焦点距離 ) x 2の◯乗
例えば、60mmのレンズと、手ぶれ補正2段分の効果があるカメラを使った時の、手ブレしない限界シャッタースピードは、以下のようになります。
1 2 3 4
| 手ブレしない限界シャッタースピード(秒) = 1/60 x 2の2乗 = 1/60 x 4 = 1/15 結果: 1/15(秒)よりも速いシャッタースピードで手ブレを防げる。
|
上の例だと、通常は1/60(秒)という速さのシャッタースピードが必要だったのですが、1/15(秒)に遅くしても、手ブレを抑えて撮影できると分かるかと思います。
F値が小さいレンズ
前項で説明した、手ブレ補正機能以外にも、手ブレ防止に効果のあるものがあります。
それは、レンズのF値が小さいレンズです。F値が小さいレンズは、「明るいレンズ」とも呼ばれています。
55mm F1.8のレンズです。50mm前後のレンズは人気のある明るいレンズ ©
明るいレンズはなぜ手ブレ補正に効果があるの?
明るいレンズは、手ぶれ対策に有利であると言われています。
その理由は、F値が小さいほど、カメラのイメージセンサーに届く光の量が多くなるので、より速いシャッタースピードで撮影できるからです。
速いシャッタースピードであればあるほど、手ぶれしにくい事は、第2回で説明しましたので、詳しくはそちらをご覧ください。
また、おすすめのレンズを各メーカーごとにまとめた記事を書きましたので、レンズについて知りたい方はこちらもご覧ください^^
まとめ
いかがだったでしょうか?今回はレンズやカメラと、ぶれの関係についてまとめました。
カメラやレンズによっては、ブレやすいものがあったり、また手ブレ補正機能やレンズを活用することで、ある程度手ブレを軽減できることを説明しました。
次回はカメラ設定の中のシャッタースピードと画質低下の関係ついて解説していきます。